何のことやら。例によって呟いたことに基づく雑駁なメモ。こちらの体感に基づくものなので、異論等がありうるのは言うまでもない。
弁護士は当事者化してはいけないという呟きに接した*1。確かにそう思うし、その点は企業内法務の担当者にも当てはまるだろう。他方で、企業内法務の担当者としては当事者意識を持っていないと行けないと思う。こちらの拙い経験からすれば、当事者意識が持てるから企業内法務が面白く感じられる一方で*2、当事者化すると企業内法務として十分な仕事はしづらいと感じる*3。この点は法曹資格の有無・法域に拘わらず当てはまるものと考える*4。
そう考えるとして、この両者の差異がどこにあるのか、という点が気になる。まず、企業内法務の立場で、自分が企業内で当事者化してしまったとすると、自分の判断に当事者としての自分の利害や心情とかが加味されかねない。そうなると、会社全体としての最適解は何かという判断が歪む危険があるものと考える。その意味で当事者化してはいけないといえるだろう。
他方で、どういう法的な問題であっても、解決に向けて、一定程度の主体性を持って、話を社内で進めることが、企業内法務では求められるというのも、こちらのこれまで体感するところであり、その点では当事者意識が求められるところでもある。もちろんその際の指導的な原理は、会社全体としての最適解は何か、ということに集約されるのではないかと考える。
その差異をどのように確保するかということを考えると、一つの解は、距離感の取り方なのではないか。精神的な意味で、一線を引く、ということになるのかもしれない。企業内法務においては、その意味では、事業部門側はクライアントの代理人とでも考えて*5、不用意に仲間意識を持たないというのは*6、あり得る対応なのではないかと考える。