写大ギャラリーで掲題の写真展を見たので感想をメモ。
会場入口に現物の書籍も展示されていた(手を触れるのはNGだった)が、土門拳の3冊ものの自選作品集の写真を展示したもの。
件の作品集の構成などを手掛けたのが、グラフィックデザイナーの亀倉雄策氏*1というのが個人的には意外だった。不勉強で知らなかったが、お二人は相当親しかったようだ。
ともあれ、土門拳の作品、自選作品集掲載作品の中から風景写真を中心に展示がなされていた。氏の作品は、ライフワークというべき「古寺巡礼」は、細部までゆるがせにせず、計算を尽くしたうえで撮られた感があり、それゆえに撮る側の執念というか「圧」を感じてしまい、写されているものが仏像等ということも相まって、個人的にはやや敬遠するところもないではない。
他方で、風景写真については、そこまでの「圧」のようなものは感じなかった。もちろん、緻密な計算があって撮られたものなのだろうとは思うのだが。撮られている風景は、「古寺巡礼」の撮影行の際に撮られたのではないかと思われるものもあった。大きなフォーマットのフィルムで撮られた写真は、プリントの解像度も高く、戦前に撮られたものであっても、古さを感じることはなかった。フィルムフォーマットの大きさの威力を改めて感じた。中版・大版の銀塩カメラは憧れるものがないではないが、こちらの能力ではそこまでのものは使いきれないというのが正直なところだが*2。
撮られている風景は、いかにも、というものもあるが*3、他方で、うっかりすると見過ごしそうなものもあり、そういうものにも眼を向けているという点でもさすが、と感じた*4。