北山 輝泰 写真展 「星を巡る」

掲題の写真展を見たので感想をメモ。星景写真に関心のある向きは、足を運ばれると良いのではないかと感じた。

 

星雲・星団などを写した写真ではなく、星と地上の風景を一緒に写した星景写真が今回の展示の中心。星景写真を撮る理由に関して、この展覧会についての新聞の記事の中で、撮影をした北山氏が星雲・星団の写真は結局PCでの後処理の巧拙の問題になることへの違和感を示しているのは、個人的には納得するところ。その手の写真は、光学機器やPC等の機材勝負(要するに資金力勝負)になりがちな印象があり、僕の眼から見れば、大変そうな割に楽しそうに思われない。寧ろ地上の風景(季節感のあるものについては、撮影時期の選択も含むだろう。)をどのようにいれ、星空をどういれるかというあたりで個性がでる星景写真の方が面白そうに見える*1。僕が、大学の天文部の時に、銀塩写真を撮る一眼レフ(Nikon New FM2と35mmF2だった。)を最初に買ったのも、もともとはそういう星景写真を撮ろうと思ってのことだった。とはいえ、こちらの軟弱さもあって、そういう写真は殆ど撮らなかったし、撮っても大したものは撮れなかったのだが(汗)。

 

なので、この展覧会の記事を見た時には、これは行かねばと思ったのであった。新宿のビル街のオリンパスのギャラリーと行きやすい場所での開催なので特に。

 

色々な事柄の結果として星を見に行くことがなくなって久しいので、写真であっても、降るようなという表現の似合う星空に接すると、単純にうらやましく思うし、これだけの空なら写真に撮りたくなるだろうとも思った。なんだかんだで腰が重いので、僕自身が実際には行くところまでにはなかなか至らないのだが。

 

また、最近のデジカメの進歩で、星空と地上の風景と、銀塩の頃よりはバランスよく写真に収めることがより容易になっていて、北山さんの写真ではその辺りがうまく使われていると感じた。一番印象に残ったのは、手振れ補正機能を駆使して手持ちで星空を撮っていたもので、三脚などの使用なしにここまでできるのかという驚きもあった。技術面を抜きにしても、星空とそれを眺める人が良い感じで一枚に収まっていたものや、まっすぐに伸びる道の向こうにさそり座が輝いているものが良い感じであった。

 

そんなこんなで久しぶりに星空を見た、という感じがした展覧会であった。

*1:星景写真でも、短いインターバルでたくさん写真を撮って重ねていく手法で作品を作るやり方だと、PC等の機材勝負の色合いが出てくるだろうが...。あれはあれで面白いのだろうが…。