何のことやら。例によって呟いたことを基にメモ。こちらの現時点での考えのメモに過ぎないので、異論等があり得るのは言うまでもない。
企業内法務にとっての「依頼者」*1は誰かということが時折問題となる。企業内法務の担当者の眼の前にいる事業部門の担当者のやっていることが、全社のためになっているのか、疑問があるときに、その行動を支援して良いのかという疑問を持つことがあるということの裏返しなのだろう。
僕自身は、前記の意味での企業内法務にとっての「依頼者」はその会社全体だろうと考える。個別の担当者や個別の事業部門のやっていることが全社利益と相反する可能性がある場合には、立ち止まってどうすべきか考える必要があろうと思うし、最悪の場合(もちろん頻度的には極めて稀であることはいうまでもない)には、その行動を「止める」*2ことも想定されるからだ。
そうなると、眼の前にいる事業部門の担当者及び事業部門はどう理解すべきなのか。当たり前のことだが、企業はそれ自体で行動を起こせるわけではなく、その「手足」となって動く人間がいて、それが眼の前にいる事業部門の担当者だったりすることになる。そういう意味では、その企業全体の「代理人」として眼の前のビジネスを進めているのは、眼の前にいる事業部の人を理解することになろう。
仮にそうであれば、「代理人」の「権限行使」が「代理」の趣旨に沿い、会社の利益と整合するなら*3、その活動を適法な範囲で支援することが企業内法務の責務ということができるものと考える。企業内法務の担当者側から見れば、そういう形で関係性を整理して理解するのが良さそうな気がしている。
…以上、自分の頭の整理のためにメモした次第。
追記:無双御大の次の呟きに接した。
比喩的に「社内クライアント」という言葉を利用することがあるものの、ビジネスは「客」ではなく、同僚・同志である。その意味で、法務は何でもビジネスに言われたことをやるだけ、という理解は適切ではなく、「ビジネスと違った目線」での検討をしてこそ、その役割を果たすことができる。 #エアリプ https://t.co/DiYqjnrj5u
— QB被害者対策弁護団団員ronnor✌︎('ω'✌︎ ) (@ahowota) 2023年6月3日
なるほどと思う反面で、事業部門側とはある種の緊張関係に立つ場合があるので、個人的には「依頼者」というくらいのほうが良いのではないかと感じている。異なる目線での検討はその関係の理解の仕方であっても果たせると考える。