法務部門への就職を考える際に

例によって呟いたことを基にメモ。前に似たようなことを書いたことが有るかもしれないがその辺はご容赦のほどを。これまた例によって、こちらのこれまでの「中の人」経験に基づくものでしかないことにご留意いただければ幸甚。

#up後に@ahowota大兄の呟き及び@luckmangan大兄の呟きに接したので加筆(複数回)した。

 次の呟きに接した。

 

法務部、なる名前の部署が企業内にあるとしても、その部署が何をするのか、という点については、企業ごとに異なる可能性がある。まず、この点は抑える必要がある。

具体例を挙げると、契約書審査というのは、法務がすることもあれば、事業部門の契約担当(総務が兼ねていることが多い)がして、法務はそういう人たちからの質問に答えるだけ、とかいうこともある(こちらの最初の勤務先がそういう立て付けだった)。

裏を返せば、企業の中で、法律を使う業務として、誰かがやっているはずの業務であっても、その業務をしている部署が「法務部」とは限らないということが有り得る。したがって、その特定の業務をしたいのに、入社して「法務部」に配属になっても、「法務部」所管でないから、その業務には携われないということもあり得る。

 

そういう、ある意味での「ミスマッチ」を防ぐためには、求職者側としては、就職・転職時に細かく訊くしかない。面接担当者、特に人事はそのあたりを把握していないことが多いから、「法務部」なるところで、何をしていて、何をしていないのか、していないことは社内のどこの部署がしているのか、について法務の担当者に細かく訊くしかない。

 

具体的には、次のような質問が考えられる。

  • 知財はどういう扱いか。知財自体が別の指揮命令系統下(開発に着くとか)にあってそこがしているとか、知財と言ってもそこでいうのは特許以外はどこまでカバーするか。特許・実用新案・意匠あたりは知財でも、商標、著作権法、不競法は法務という切り分けはあり得る。必要とされる技術系の素養の有無を考えるとそういう切り分けも正当化しうるだろう。
  • 契約審査は、法務がするのか、事業部門がするのか、後者の場合に法務はサポートなどするのか。
  • 労務は人事専管か、法務が関与する場合はどこからか(紛争にならないとやらないのか、紛争の場合も関与せず、外の事務所と直接、ということもあり得る)。
  • 債権回収は事業部門か経理か。数字を見ているという意味では経理だが、相手先の情報を持っているのは事業部門だから彼らがすべきというのもあり得る。そういう場合にどこまでサポートするのかということも訊く必要があるかもしれない。
  • 総会対応・取締役会対応について、法務が主担当か、総務や社長室というような部署が仕切るのを手伝うだけかとか。開示・IR周り・M&Aにどこまで法務が関与するのかとも関係するだろう。
  • 輸出管理についても、所管部署が別にあるケース、それが法務の中にあるケース色々あり得る。
  • 税務についても、印紙税だけは法務に訊かれがちなので、そのあたりも訊くのはありだろう。
  • 広告・宣伝(商品の表示なども含む)についてもどこまで法務が関与するのか、法務以外のどこが所管しているのか、も確認すべきだろう。
  • 取締法規系はどこまでするのか。メーカーの製造現場周りで問題となるもの(主に環境系)は製造プロセスについての知識がないと対応しきれないので、本社法務部の関与能力は高くなく、現場任せになる可能性が高いのではなかろうか。また、製品についての規制は自主規制も含めて色々あって、こちらも製品についての知識がないと駄目で、こちらも事業部門だよりになるのだろう。

 

以上、就職・転職活動をされる方のご参考になれば幸甚です。