ウジェーヌ・アジェ写真展『シュルレアリスム II』

掲題の展覧会を見てきたので感想を簡単にメモ。

 

ウジューヌ・アジェの名前は、街頭の写真とかの歴史を紐解くと出てくる有名人。アジェ自身が作ったプリントやフランス国家が管理しているガラス乾板からプリントしたものなどが展示されていた。それぞれが販売されており、値札がついているのが、なんだか印象的だった。乾板から新しくプリントしたものも、それなりに迫力のようなものを感じたが、アジェ自身のプリントは、年月を経ていて、褪せているところがあるものの、そういう部分から別種の迫力を感じた。

 

大型のガラス乾板を使って撮るような写真で、シャッタスピードも速いわけでもないから、機動力よく一瞬を切り取るというよりも、しっかりと三脚を据えて、しっかりと対象と対峙するという感じがした。昼間に撮ろうとすると、通行人などが障害になるから、早朝にしか撮れないというのも理解しやすい。画家向けの資料として販売する前提で撮っていることもあり、感性のままに撮ったというよりも、こういう絵を残すんだ、という撮り手の確たる意図を感じるものばかりだった。こういう意図のしっかりした写真はなんだか個人的には、胃もたれがする気がして、あまり得意ではないとも感じた。

 

街のディテールとかを撮った写真たちを展示しているのに、シュルレアリスムと題している点に疑問を覚えたが、これはこちらの不勉強故のことで、シュルレアリスム運動の中で彼が見いだされたということを考えれば、別におかしな話ではないのだろう。まあ、資料目的で淡々と街を撮る行為そのものがシュルレアリスムという受け取り方をすることもできるのだろう。

 

公園などを撮っているものもあったが、個人的に印象的だったのは、ごみごみとした街路や建物の一部のディテール(宣伝用のハガキになっていた)を写したものだった。もともとそういうものに魅かれがちなので、当然の反応かもしれない。

 

館内は当然撮影禁止だったが、ギャラリーのある建物入口とギャラリーのある階のエレベータホールにポスターの類があったので、それを写したものを貼っておく。