フジフィルムスクエアの写真展2つ(写真家エリオット・アーウィット作品展「観察の美学 筋書きのない写真たち」/「写真家・平間至の両A面」 ~アー写(アーティストの写真)/ エー写(営業写真館の写真)~)

六本木ミッドタウンのフジフィルムスクエアで写真展2つを見てきたので、感想を簡単にメモ。

 

写真は会場にあったチラシその他。

 

エリオット・アーウィットの作品は、スナップショットの達人による傑作という感じなのだけど、アンリ・カルティエ・ブレッソンのそれが計算とか緊張感を感じるのに対して、むしろ、観察眼の確かさとユーモアを感じるものが多かった。展示されている中では、鏡の中に写るカップルの写真とグレース・ケリーの婚約式の写真が印象に残った。

展示されていたのは、隅にサインが入ったオリジナルプリントで、ゼラチン・シルバー・プリントもきれいで、近頃のプリンター出力で出されたものとは異なる、貫禄ある存在感、というものを感じた。個人的には、時の試練を経た銀塩写真のプリントの魅力には抗いがたいものを感じた。

 

平間至さんの方は、個人的にはTower recordsの宣伝写真などで作品に接していたが、そうしたアーティスト写真を撮るだけではなく、写真館で一般の方の写真も撮っておられるということで、それらを共に展示したもの。両者を「両A面」(この言い方もどの世代まで通じるのだろうか。)としていることからも分かるように、撮影時のスタンスには、それほど大きな差はないように感じられた。ポートレートという意味では両者ともに共通なのだけど、撮られている側が不自然に緊張しているところがないのが、凄いと感じた。展示されていた中には、ギターを抱えた達郎さんが良い表情で写っている写真があったのが印象に残った。

チラシなど共に、写真館の営業用のパンフレットがあった。写真館での撮影も、余技としてではなく、本業として行っているんだ、という風に感じられて、好ましいと感じた。

 

(平間さんの展示の撮影可能なコーナーにあったもの。)

 

 

どちらも、写真で、「いい瞬間」(どう表現すべきか悩むのだが)を撮ることに長けているプロ、という点では共通しているように感じた。写真による表現は、それだけではないとしても、そういうことができることは重要なことだと思うので。