最終号の感想をいつものようにメモ。
- 最後が鉄板企画のブックガイドで締めるというのは、偶然のこととはいえ、良かったのだろうという気がする。手間はかかるけれども*1、最後を締めくくるにふさわしいBLJらしさを出しやすい企画だったから。
- 座談会。こちらが概ね不調の一年だったせいか、大半の書籍を未見であることに驚く。座談会出席者の業界(匿名なので、よくわからないが*2)の範囲がこちらの来歴と重ならないからかもしれないが。
- 倉橋先生の記事は、「骨太の書」の指摘も納得だし、会社法案件対応のための書籍のリストも興味深い。とはいえ、個人的には古曳先生の本が上がっているのが一番印象的。あの本は実務家が書いた本であっても,、古典たりうる数少ない本の一つではないかと感じているので。
素材メーカーの方のブックガイドは、オンライン総会についてのコメントが興味深い。
食品メーカーの方のブックガイドは、かなり絞った範囲のガイドで、用事のある人にとっては有用なのだろう。
化学メーカーの方のブックガイドは、内部監査スタッフ・監査役スタッフ向けのようだけど、これらの部署の立ち位置の差異への理解を深めるうえで有用そう。
電機メーカーの方の記事では伊藤「知的財産ライセンス契約」に興味が。一部で好評の某書との比較を誰かしてくれないかという気がしている。
斎藤先生の記事では「オーラル・ヒストリー企業法務」に興味が*3。次のコメントは印象的。"結局のところ、こうした議論に新しく見えるところがあったとしても、先人がこれまで経験して考え、実践する中で育まれた問題意識が多少違う形をとって表れてきたものにすぎないということなのでしょう"
廣瀬先生の記事では「特許調査入門」に興味。J-Platpatは必要に応じて使うけど、使い方についてはわかるようでわからないところがあるので。
内田先生の記事では冒頭の2冊に興味。片方は手元の積読山にあるのだが、目を通せていない(汗)。読まないと…。
高宮先生の記事では3冊目が気になるところ。もっともそれより先に積読山にある長澤先生の本を読まないといけないのだが(汗)。
町田先生の記事では、森戸先生が噛んでいる、労働法トークライブがやはり気になる。プレップ労働法での森戸節がどう炸裂しているかが。
産業ガスメーカーの方の記事では、やはり無料の税大講本が気になった。なにせ無料で毎年改定しているし。
大屋先生の記事では、百閒の「東京焼盡」が取り上げられているのが印象的。個人的には、百閒は旧仮名で読まないと駄目だと思っているので、中公文庫版か旺文社文庫版でお願いしたいが、特に後者は絶版になって久しいので無理筋すぎるのも理解している(汗)。
松中先生の記事では、twitterで知ったという「企業価値の神秘」が挙げられているのが印象的。こちらもすら先生の呟きから購入してはいるのだが、テンションの高さについていけずに積読の山の一部となったままになっている(汗)。 - 二次妻・無双様の書評は最後まで、辛口だった。某分野で評判の良い某書について、辛辣な評価(期待の裏返しであるのは明らかであるとしても)が圧巻。
- ハーレム英文契約書講座は表明保証の存続期間の議論が興味深かった。確かにクロージングが終わった瞬間に表明保証が消えてなくなるのが不当なこともあるだろうし。
- アジア法務の記事は、知財と税務の交錯のあたりが興味深かった。相当複雑なパズルを解く感じだろうか。
- 知識創造法務の記事はまずはリソースのある企業の話に見え、汎用性に疑問。オープンスペースでの議論は、密航性のいる事態が生じたときにどうするのか疑問。いつものオープンスペースにいるのにいきなり籠もり始めたら、疑問というか、「何か」があったことが可視化されかねない気がする。それもやむなしと割り切るのも一手だが*4。
- 個人情報保護体制(以下略)の記事は、パズルみたいなややこしさで読んでいても頭に入ってこない(汗)。
また、次回予告が出ているので、休刊が決まったタイミングが結構遅かったのではないかと推測されるがどうなんだろう。 - 副業・兼業の記事は、それなりに必要な措置なんだろうけど、真面目にやろうとすると大変そうなので、ここまで手間かけてまで認めるところがどの程度あるのか、という疑問。やらざるを得ない状況のところもあるのかもしれないが。
- 独禁法の道標は、入札談合における「当該商品又は役務」についての3つの要件についての分析が興味深い。なお、白石教授は3つの「要素」という表現をされているが、ここに何らかの意味があるのか、興味がある*5。
- 最後にEditor's voiceのところ。梅津編集長(鳩)はじめ皆様の今後に期待。どこかでまたご活躍を拝見できるのを楽しみにしております。改めて、僕が現在ここでこうしていることのうちの一定の割合はBLJがなければなかったかもしれません。その意味で、感謝してもしきれないところがあります。ありがとうございましたm(_ _)m