本屋で見つけて購入し、一通り目を通したので感想をメモ。事前に知らなかったが出たばかりの様である。英語の達人のお言葉に平伏するしかないというのがこちらの率直な感想である。
著者についてはちくま学芸文庫での著作2つ(『英語類義語活用辞典』や『日英語表現辞典』)でその名前を知り、これらの著作は通読はできていないが、積読山の中で時折紐解いては、都度その英語に関する学識に驚かされている。間違いなく英語の達人と感じる。本書はその著者が英語習得について書いたものを集めたもの。「はしがき」がネット上で公開されている。本文は150頁余と短いし、文章も読みやすいので、通読は困難ではないと思う。
達人の著者の説く、英語習得への道は、俗説を排した、終始地に足のついた議論と感じる。日本語を忘れろとは言わず、日本語と英語と双方の違いを認識することの重要性を説き、英語の重要な考え方について端的に指摘する等している。その当否を論じる能力はこちらにはあるはずもないが、引用している英文と付された訳文の流麗さからその能力は明らかと感じるし、自信をもって断言できるだけの経験の重みにはただただ感心するしかない。そういう著者の説く習得への道は、今は道具が進化している分効率化は可能なのかもしれないが*1、それでもかなり遠いという印象が残る。
こちらも英語は業務上使うことがあり、頻度はそれほど高くないこともあり、能力の維持向上についてのモチベーションが必ずしも高く保てず、他のこととの優先順位との関係で、英語に関する能力の維持向上への努力にまではあまり手が回っておらず、使う羽目になるたびに、冷や汗をかくばかりである。そういう立場からすれば、内容を頭にいれておくことは有用かもしれないが、なかなか書かれている内容を実践するのは難しいと感じた。そうはいっても、書かれた文章の時代が少し前なので古いところはあるかもしれないが、本質的な部分に変化はない上に、単純に読み物としても面白いので、個人的には目を通しておいても損はないと感じた。
*1:もちろんそういう道具が却って妨げになる可能性もあるし、AIの進展は、却って、能力を養うモチベーションを削ぐ方向に働きかねないのも事実だろう。実際は、AIの現状の能力からすれば、その出力を検証する能力がないと、翻訳などには使うのは危険なのだが...。
