例によって、呟いたことを基に、目を通した範囲の感想を箇条書きでメモ。
- 巻頭言は、刑務所スタッフの士気向上の難しさを感じた。
- 法学のアントレは未来の法はアニメから。引き合いにでているものはいずれも知らないが、アニメ好きの方の原稿らしいと感じる。
- 特集は憲法の学習における学説と判例・実務。
冒頭の小島先生の文章によると「学説の役割と判例・実務との関係」が今年度の特集の共通テーマとのこと。小島先生のイントロの文章の後は植木先生の「平等」。最高裁の学説への距離の取り方が意味ありげに見えてしまう。
中島先生の「政教分離」では、「将来の判断を可能な限り縛らない(よくいえば)柔軟な判断枠組みを好む判例実務」という表現が、場当たり的という批判を遠回しに言っている感があって、印象的。
木下先生の「表現の自由」は、これまでの学説と判例の変遷の概観が興味深かった。最後の段落での指摘には納得。
川鍋先生の「職業の自由」は経済的自由の重みの議論が興味深く感じた。
新井先生の「国会」は、憲法学説の課題や特に政治学との協業についての指摘が興味深く感じた。
特集は、どこまで理解できたかはさておき、現状の学説と判例実務の距離感が垣間見えて興味深かった。 - 講座。
憲法。「最高機関」「立法」「唯一」(2)。抽象度の高い話が多くて、こちらの不勉強もあって、肚落ちしない感じが続くがやむを得ないのかもしれない。
行政法は行政処分の職権取消し。素材となった最判での比較衡量のあり方についての分析が興味深く感じた。記事最後での指摘にも納得。
民法は任意法規の意味と強行法規との関係。不勉強で良くわからない感じが残った。
会社法の会社の業務及び財産の状況を調査する者は、複数の制度の関係性を日独の比較で説明していて面白かった。
民事執行保全の不動産競売の開始、差押え・仮差押え、売却条件は、経験値不足でそういうものかと思いながら読むだけ。
刑法は、最初の方は普通の連載のように見えたが、どうせそんなことはないだろうと思ったら、案の定途中から隠し切れない鉄オタ全開な感じで、微笑ましく感じた。「たんなる鉄道趣味からではなく」というような見え透いた言い訳は不要なのではないだろうか。それはともかくとして、類推解釈の否定についての説明はわかりやすくて、初めて肚落ちした感じがした(汗)。 - 演習。
憲法。少年の夜間外出の自由を割によく見る判例を使いながら分析するのは読んでいて面白かった。
行政法。行政の非情さみたいな指摘が最後にあるけど、そういうところはあるだろうけど、持ち出すことに謙抑的でないといけないのではないかと思う。
民法。錯誤の成否の細かく段階を分けた検討が分かりやすかった。
商法。説明は全体的にわかりやすいが、「お手盛り」についての秀逸な説明(体験談付き)が他のすべてを持っていく印象。
民訴。後半の地家裁間の移送の話が興味深かった。普段家事事件に接する機会がないので。
刑法。承継的共同正犯。そんな感じだったっけと思いつつ読む。
刑訴。強制処分。ベタな感じの設例だなと思いつつ読む。
労働法。整理解雇。四要件か四要素かって話がまだ出てくるのかと思いつつ読む。 - 判例セレクト。
憲法の靖國神社合祀情報提供行為国賠訴訟は、三浦反対意見とそれについての評釈でのコメントが興味深い。
行政法の都道府県議会議員の定数配分規定の適法性は、国政以外でもこういう訴訟があるのは当然かもしれないが見た記憶があまりなかった。評釈最後の指摘は興味深いけど、具体的な指標を示さないと議論に説得力が出ないのではないかと感じた。
民法の改正前民法724条後段の除斥期間に対する例外の射程は、評釈最後での指摘はそう考えられる結果になるんだろうなと思う。その当否はさておき。
商法の株主総会の招集地と招集手続の著しい不公正は、事実関係からすればそういう判断になるよなと思って読む。
民訴の当事者間の合意に基づいて養育費の支払を求める場合には、地方裁判所における民事訴訟手続によるべきとした事例は、お金に色はない、と思えばそうなるかな、という程度。立法でにの手当がされたのは良いことなのだろう。
刑法の非監護者が監護者と共謀して被監護者に対し性交等をした場合における監護者性交等罪の共同正犯の成否は、評釈での本罪の保護法益に立ち返った検討が興味深く感じた。引用されている深町先生の御指摘に個人的には納得。
刑訴の犯人性に合理的な疑いがあるとして無罪とした原判決を破棄し自判した事例は、そういうものなのかなあと思いながら読む。
