月刊法学教室 2024年 10 月号

例によって呟いたことを基に、目を通せた範囲の感想を箇条書きでメモ。

 

  • 巻頭言は実務と学会の距離の大きかった刑訴法分野におけるロースクール制度がもたらした影響が興味深かった。最後の指摘は確かに重要だろう。
  • 法学のアントレは、今度は法学とスポーツがテーマらしい。初回は法学と野球。最後がこじつけのようにも感じたが分かるような気もした。
  • 特集は行政法学習に基本原理を活かす。イントロの斎藤先生の文章は最後のところは、うつろという表現に納得。
    最初は説明責任。既に裁判例でも一定の役割を果たしているというのが興味深い。その詳細はまだ不明確なところがあるとしても。
    比例原則は、歴史的な変遷が興味深く、最高裁が「比例原則」という用語をあまり使っていない理由の推測も興味深い。
    平等原則は、記事を読む限り、実際に持ち出そうとすると結構使いづらいように感じた。
    効率性原則は、そもそもそういうものがあるのを認識できていなかった(汗)。冷静に考えれば、効率性がすべてではないとしても無視してはならないはずなのだが。
    公正・透明性原則は、それぞれの意義、限界の分析が興味深かった。
    特集全体として一般原則の使い方の難しさを改めて感じた。
  • 国会概観は、成立した法律の簡単な紹介もさることながら、国会の状況の説明が興味深い。
  • 新法解説の、民法等の一部を改正する法律については、文中でも指摘があるが家裁のリソース状況と整合するのか、の視点からの検討がどこまでされたかわからないままの改正にも見えて、大丈夫なのかと思う。
  • 時の問題の自転車の交通ルールの件は、被害者保護の難しさの一端が脚注14に示されている気がした。
  • 講座。
    まずは執行保全新連載。こちらの不勉強で不服申し立て手段の区別が分かりづらく感じた。
    憲法大日本帝国憲法の成立、展開、崩壊。さすがにもともと政治系だったので、興味を持って読む。坂野潤治先生の観点が特に興味深かった(脚注3で指摘の部分)。
    行政法は義務付け訴訟他。厚木基地第4次訴訟最高裁判決の本案での行政裁量審査の方法への批判はなるほどと思いつつ読む。審査不尽という感がある。
    民法は協働関係における過失判断。素材となったのは医療事故事件だが、医療事故での考え方が他の事案にどこまで使えるのかが気になった。
    会社法の時計はお休みなのが寂しい限り)
    刑法は親族相盗例の適用。親族相盗例はそういうのあるよね程度の理解だったが、制度をどう理解するかから始まる議論が興味深かった。
    刑訴は被告人の証人適格。刑訴法311条と憲法38条1項の関係について、背後にある大陸法の見方と英米法の考え方の差異から解かれているのが興味深く感じた。
  • 演習。
    憲法。住むこと、を憲法から考えたことがなかったので、なるほどと思いつつ読む。
    行政法。国賠。違法の考え方の所は、よくわからない気がした(勉強不足)。
    民法。債権譲渡と解除とかその辺り。ややこしいなと思いながら読む。
    商法。株式の善意取得とか、すっかり忘れてた(汗
    民訴。確認の利益。そんなのあったねえ、という程度。
    刑法。遺棄など。設例を見て、どこぞの年度の司法試験の問題で遺棄の問題あったよなと思う程度。
    刑訴。訴因特定。こういうのあったなと思う程度。
  • 判例セレクト。
    憲法の言語権と教育は解説最後の段落で示されている問いが興味深く感じた。
    退職手当全部支給制限処分が裁量権の逸脱濫用ではないとされた事例は、最後の岡裁判官の反対意見にも一理あると感じた。
    性別変更後の出生子による認知請求は、まあそういうことになるんだろうなと思いつつ読む。
    取締役が代表者を務める一般財団法人への寄付と取締役の責任は、経常利益と寄付金額の比率が考慮されているのもどうなんだろうかという気がしないでもない。
    東名高速あおり運転事件第二次控訴審判決は、解説での危険の現実化という公式には、事実的因果関係と法的因果関係との区別を不分別にし、現実の因果的機序の認定を疎かにさせるきらいがあるとの指摘になるほどと思う。
    聴覚障害者の住居への立入りは、こういう状況を考えたことがなかったので、なるほどと思いながら読む。