例によって呟いたことを基に箇条書きで目を通した記事の感想をメモ。
- 巻頭言は、確かに著者の法律家としての適性を感じる話かと。
- 法学のアントレは、本クールのお題は未来。本号の記事は内容よりも、冒頭の前置きが面白かった。
- 特集は、これからの「家族」の話をしよう。
冒頭の対談は、大きめの論点についての憲法と民法(家族法)の研究者同士の対談というところか。どこまで理解できたかさておき、ニュースでも目にするような話題についての議論で、社会と法との相互作用のものを感じる。さらに、家族をめぐる法律上の基本的な概念について再検討が必要な状況というのも示されていて、読んでいて面白く感じた。
介護保障について行政が負うべき役割は何か、は介護保険法成立を契機とした介護保障における行政の役割の変化が興味深い。行政が「逃げて」いるようにも見えたのはうがった見方に過ぎるだろうか。
家族関係の変化が会社に及ぼす影響とは?—同族会社の財産分配と事業承継は、東京地裁の民事8部(商事部)は実質家事部だという趣旨の指摘を思い出した。同族会社の円滑な事業承継は制度はあっても、使いこなすのが難しそうな印象を受けた。
手続法の家族へのかかわりは、家裁の手続の紹介と最近の法改正の家裁への影響などの解説。離婚あたりの話が中心なのはわかりやすさ優先ゆえのことなのだろう。
家族をめぐる刑法の役割は、家族と刑法との距離感というか間合いの取り方の難しさの一端を垣間見た気がした。
特集は、家族を切り口に各法の役割を紹介するような感じになっていて面白いと感じた。 - 時の問題の解雇の金銭解決制度について考えるは、算盤勘定だけからすればそうなるのだろうが、そういう問題と片付けられないから制度導入がなされていないのではないかという疑問が残った。
- 講座。
行政法の新連載は、連載開始時のコメントでタイパ云々を言うのが興味深い。初回は適正手続。綜合較量の論証過程の明確化の必要性の指摘には賛成。予測可能性が低くなりやすいので。
法と経済学から見た民法判例の強行法規の必要性は、ローエコに馴染みがないので、難しく感じた。ローエコの基本的な用語に馴染みがないのも一因かもしれない。
ちょっとだけ寄り道会社法は、株主代表訴訟。ESG訴訟の話は知らなかった。
刑法総論の秘密、刑法各論の秘訣、は鉄オタの著者が全力でそちら方面のネタを展開しているのが凄いというかなんというか(しかも次回もその方面の模様)。テーマ設定の正当性を1ページかけて説明するあたりは後ろめたさの表れなのか。内容は確かに刑法の学習で重きを置かれている話ではないのだが...。
憲法の基本原理から考える統治は、「最高機関」「立法」「唯一」の初回。抽象度が高く、なかなかわかりづらく感じた。
(民訴は休載。刑訴は連載なし) - 演習は執筆陣が交代。
憲法は13条と19条で議論が可能なところなぜ19条で議論するのか、というところで戦いやすさみたいな話が出てこないのは研究者の先生の書いたものだからなのだろうか。
民法は保佐周り。取消の効果としての返還請求の可否の議論はなるほどと思いつつ読む。
商法は取締役会における特別利害関係のあたり。特別利害関係ある取締役を採決に参加させるかの議論が興味深かった。
民訴は家事事件を題材に紛争解決手段についての紹介。特集とも関連している。4月号の初回にこういう話を持ってくるところが良いと感じた。
刑法は不作為による傷害致死のあたり。如何にも演習向けという印象。
刑訴は強制採尿のあたり。「法学は言葉による説得の学問」と強調しているのが味わい深い。
労働法も今回から演習に。司法試験の選択科目というなら他の科目は入らないのか、と経済法選択者としては何だか釈然としない。普通解雇の有効性の判断については、まあそうなるよなと思う。 - 判例セレクト。
行政法の件は、解説最後に指摘される救済策が重要ではないかと感じる。
民法の開示請求の件は、民法で取り上げられたのがやや意外。改正法の遡及適用を認める理屈付けも興味深い。
商法の株主名簿データ引渡請求の件は、振替株式の場合にどういう手順でやるのかが興味深かった。
民訴の文書提出命令の件は、「相当な理由」の検討要素が興味深かった。
刑法の強盗罪の承継的共同正犯の件はH24最判以後の議論の進展が興味深く感じた。
刑訴の被害者の検面調書の証拠能力の件は、医師診断書を丁寧に書かないと本件のように面倒になるのはわかるが、そういうことにならないように書くのも大変なのではないかと感じる。
