ジュリスト 2024年 10 月号

例によって呟いたことを基に目を通した範囲での感想を箇条書きでメモ。今回は諸般の事情で半分以下にしか目を通せなかった...。

  • 判例速報。
    弁護士である取締役の代表取締役に対する会社法429条1項に基づく損害賠償責任と過失相殺は、解説での本件の特殊性の指摘になるほどと思う。
    労働判例の取引先への詐欺に当たる業務命令等に対する労働者から使用者への損害賠償請求の可否は、事実関係を見てこういう話が実際にあるのかと驚いた。
    独禁法事例速報の監視受託者等の選任を含む問題解消措置が条件とされた企業結合は、トラスティの活用についての指摘はなるほどと思うものの、トラスティ側が役目を真面目に果たす誘因がどこまであるのか気になった。
    AIの発明者該当者性のダバス事件は、立法論で検討を期待しているのは妥当なのだろうと思う。
    租税条約における「居住者」該当性は、UAEの特殊性が大きいような気がした。
  • 特集1は通貨とデジタル・キャッシュの将来と課題。イントロの短い文章のあとに森下先生の特集にあたって。特集全体を鳥瞰する感じだが、既についていけない感じがする。
    次いでステーブルコインとデポジットトークン—技術と海外動向は、海外の技術動向の紹介のようだけど、説明なしに使われている内容でよくわからないところがあるような気がした。どういう想定で執筆を依頼したのかが気になった。
    ステーブルコインに関する法的課題は、改正法の解説は役所の説明っぽいと感じた。正確だろうけれど分かりやすくないという意味で。
    デジタル円は、そういう検討がなされていること自体、知らなかったので、興味深く拝読。そういうものを導入することの利点の説明があるのは良かった。そこから肚落ちしていないので。
    暗号資産交換業者・電子決済手段等取引業者に関する規制の意義と課題は仲介業者の役割についての指摘になるほどと思った。
    マネー・ローンダリングの防止と匿名性は、実効性あるマネロン防止措置がどこまでできるのか、なかなか難しいのではないかと感じた。
    デジタル・キャッシュとデータは、現金万歳という感想しかない。
    特集は、利便性があるからこの手のものは使う一択という趨勢のわりに、悪用のリスクをどこまで防げるのか、疑義の残るところで、それでも使うことが正当化され得るのか、という疑問が残った。
  • 海外進出のための法務は、海外進出のために必要な調査。そんなものかなと思う反面、進出時に対応間違うと撤退もしづらくなることも指摘があると良かったのではないかと感じた。
  • SDGsと経済法は持続可能な地域交通と経済法。乗り合いバスが取り上げられているが、特例法で対応していたのは初めて知った。