ジュリスト 2024年 02 月号

例によって呟いたことを基に感想を箇条書きでメモ。

  • 海外法律情報のスウェーデンの「ダンス許可」を廃止する法律については、そもそものダンス許可が必要とされた理由についての指摘について、内容の当否はさておき、なるほどと思う。
    タイの拷問等禁止他(詳細略)については、条約対応がちぐはぐな感もあるが、今後の刑事実務がどう変化するのかは見守るべき話題かもしれない。
  • 書評。碓井先生の本に対する書評については、話についていけなかった(汗)。松本博士の本に対する書評については、博士の研究活動の質量への驚きについては、納得。
  • 海外進出する企業のための法務はビジネスと人権周りの話。いかにもアングロサクソンあたりの考えそうなやり口だよなと改めて思う。
  • 実践知財法務は、最終回で総括。3つの機能論に沿った整理をしつつこれまでを振り返るのは秀逸な総括だったと思う。最後の一文に納得。奥邨先生らしい一言と感じた。
  • 判例速報。
    会社法CMSの件(詳細略)は、なるほどこういう問題のされ方になるのかと思いながら読む。最後の指摘にもなるほどと思う。
    労働法のグループホームの件(詳細略)は、評釈での批判に賛成。労基法と最賃法の解釈としておかしくないかと思う。
    独禁の確約計画の件(詳細略)は、審査官がT社本社を訪問して資料提出を求めるなどした件が興味深い。
    知財の幼児用椅子の件(詳細略)は、写真を見て、某件の評釈?と思ったら、同じ椅子みたいだけど別件だった。別件との著作物性についての判断の差異がなぜ生じたのかは気になるところ。
    租税判例速報の希少車両の件(詳細略)は、問題がフェラーリという希少といいつつそれなりに有名な車両ではなく、もっと希少度が高く、経年劣化が問題にならないような車両だったら、比較対象の楽器の事例に近づいたのだろうかと感じた。
  • 時論。
    辺野古基地訴訟の基本構造は、辺野古基地訴訟がこれだけの数の訴訟を経ているということにまず驚く。「おわりに」の最後の指摘には賛成。
    もう一つは、自衛隊法80条と海保の件(詳細略)。いざとなると海保がかなりの危険にさらされる可能性があることは理解できたけど、その先どうすべきかはよくわからない。
  • 時の判例
    全部勝訴した原告が控訴をすることの許否の件(詳細略)は、なるほどと思う反面で、差し戻しても何か違う判断が出るかというと疑問で、裁判所のミスで原告が不利益を被る結果になっているように見えて、何だか酷な気がした。
    遺言執行者の原告適格の件(詳細略)は、まあ、こういう話になるのか、と思う程度(汗)。
    経産省トランスジェンダーの方の件は、時の判例だとこういうまとめ方になるのか、と思って読む。
  • 判例研究。
    経済法の電力カルテルの件(詳細略)は、評釈の最後の指摘に同意。カルテルを半ば主導しておいて、自分がリニエンシーの適用をうけるという仕組みが適切かというと疑問。
    商事の事業再編目的による株式取得と利益相反取引については、利益相反性の扱い方についての指摘になるほどと思いつつ読む。商事判例の従業員の過労死と名目的代表取締役の対第三者責任の件は、名目的代取に酷な気もするが、評釈にある経緯からすればやむを得ないというか、それも代取になることによるリスクとして引き受けたということになるのだろう。
    商事判例民法改正成立後・施行前にされた根抵当権設定行為の詐害性は、改正法の趣旨の改正前法の解釈への影響についての議論が興味深く感じた。
    労働判例契約社員への寒冷地手当の不支給の不合理性の件は、評釈での判旨への疑問の指摘をなるほどと思いながら読む。
    労働判例の救急外科医の件(詳細略)は、配置転換前の部署と後の部署とで業務にどういう差異が生じるのかが事実記載や決定要旨の引用から読み取りづらく感じた。
    グループ内組織再編成に伴う借入れと同族会社の行為計算否認は、機動的なグループ運営等ができる余地も確保するとなるとこういう判断の仕方になるのかと思いつつ読む。
    外国人と日本人の離婚裁判と年金分割の請求は、日本独自の制度と思われるものについて、他国の裁判所などに判断を求めるような話にしては問題ではないかと思ったが、結論として日本の裁判管轄を認める理屈付けの仕方は、まあ、こうなるのか、と思って読む。
    刑事の薬事法66条1項と医薬品等の広告規制は、評釈の冒頭の「ステマ論文じゃないか?」という指摘やIIIの「問題の根源」での指摘に納得。
  • 最後に特集。
    岡田先生の論文は、GDPRの執行とEDPBの活動についての最近の状況の紹介。不勉強で動きについていけていなかったが、動きがいろいろあることが分かる。同時にEUという仕組みのややこしさも感じる。
    市川先生の論文は、データ保護・消費者保護・競争の三位一体、の図が印象的だったこの三つの関係は今後もいろいろと問題になるのだろう。
    寺田先生、孫先生の論文は、日韓の十分性認定についての経緯が記載されていたが、なぜこの二国?というのがよくわからなかった。
    斎藤先生の論文では欧米間の駆け引きの先行きがどうなるか読みづらいという印象を受けた。
    小向先生の論文はEUのデジタル政策中の関連する政策とGDPRとの関係が興味深く感じた。EUのデジタル政策の普遍的な価値との接合の意味合いの指摘には納得。
    特集は、個人的には興味の持てない分野ではあるものの、その当否はどうあれ、この分野での欧州の戦略性を感じた。