60分でわかる! フリーランス法 超入門 / 野田 学 (著), 白石 紘一 (著)

本屋で見つけて買って、さっそく目を通したので感想をメモ。60分で分かるとは思えなかったし、読み方に一定の注意が必要と感じたものの、悪い本ではないと感じた。

 

技術評論社のシリーズものの一冊で、過去目を通した範囲では、著作権法個人情報保護法のものは、良かったと感じたシリーズ*1。このシリーズは、60分で読める程度(四六版で最大で150頁位か)の分量で、多色刷りで、見開きの左に説明、右側に図表での解説というフォーマットで一つのテーマについて解説するという形。分量や形式の制約が大きいため、著者たちに対し、単にその分野に知見が深いというだけではなく、想定読者である素人向けの説明の端折り方、図表を使った説明の能力が問われているように見受けられる。

 

施行が開始されたフリーランス法について、2024年9月20日現在(何よりもまず、この基準日が書かれているのが良い)の情報でまとめられてる本書は、説明のメリハリのつけ方や図表での説明の仕方が優れていると感じた。最初に全体の早わかりがあり、さらにポイントの章が続き、その後で本論が始まるので、最初から読むと知識が頭に残りやすいとも感じた。発注書などの文面のサンプルが巻末にあるのも親切。そういう点も含めて、ざっと読んで(それでも60分で読むのは厳しいと思うが。)、件の法律の概要をつかむには良いように感じた。普段法律に縁のない方にとっても、分量にしても体裁にしても手に取りやすいのではなかろうか。他方で、この法律の詳細を知るはずの企業内法務の担当者としても、社内での説明などの仕方などを考えるうえでは参考になるところがあるのではなかろうか。

 

とはいうものの、いくつか気になった点があり、これらの点を理解したうえで、本書を読むのが良いと感じた。

  • 条文番号などへの言及がないので、個々の記載について、法令または下位省令もしくはガイドライン等の何処に基づくものなのかを確認するのは困難。シリーズの決められた分量に収めるためには、やむを得ないのだろうが。
  • 超入門、と銘打つわりにこの先の読書案内がない。記載の裏取りとか、記載よりもさらに詳細な点を調べるのに使うのであればどういう書籍などにあたるのがいいか、というあたりは何らかのガイドがあって然るべきではなかったか。

*1:イマイチ、と思ったものもあるということなのは、言うまでもない。