外出しについての何だか

何のことやら。呟いたことを基にメモ。現時点での体感に基づくもので、異論があり得る上、現在過去未来のこちらの行動及び所属先のそれらとは一貫しない可能性があることをあらかじめ付言しておく。

 

最近の流行りなのか何なのか知らないけど、今までもあったことに、片仮名とか英文字で殊更に新し気な名称を付けるというのはよく見られる*1。そうした中の一つに、契約書審査の外注化というのも含まれるように思われる。定型的な業務を内製よりも安く外注するということで、当節流行りの人工知能とやらをかませることで、省力化と目新しさを訴求するというのもありがちな話に見える。

 

外注化というのは、契約書の内容審査に限らず、慎重な判断を要することになるわけで、外に出せるようにするためには、あらかじめ一定の段取りが必要ということになろう。まずは、外に出す業務を決めること。これは外に出さない業務を決めることの裏返しかもしれない。出していい業務とそうでない業務の線引きもしないといけない。NDAなら何でもだしていいというような単純な線引きでいいかというと、M&Aの最初に取り交わすものとかを製品仕様開示のためのNDAと同じように扱えるはずもない*2。契約書単体でのレビューは仮に外注で問題ないとしても、それだけでいいのかという問題もあるだろう。NDAを起点にその先の話を聞いておく、みたいな話が外注化でできなくなる点をどうするのか、という問題も残る。共同開発の可否を検討するためのNDAであれば、共同開発契約が必要になる可能性があることをNDAの審査の時点で認識可能になるし、場合によってはその時点で座組(今風にいうとスキームか)に問題あり等の指摘をして、座組をやり直す等の対応が可能になる。早期に発見すればその種の対応が可能であっても、遅くなるとそうした対応が取れなくなるもあるので、軽視してよいかは疑問の余地があろう。

 

更にいえば、外注化の結果、内製しなくなった業務は内製でできなくなる可能性があるのをどう考えるか。一切不要になればよいが、未来永劫不要であると断言できるのか。この辺は実務をしている人間がリスク判断をする必要があって、現場から実務をするなと言われるような管理職だけで判断すると間違う危険がある気がする。

 

外注化を全部否定する気はないが、安易に出すと後で祟る気はするから、十分考えないといけないとは思う。見える範囲の便利さだけに飛びついて大丈夫かということを想像力と共に考える必要があるのではなかろうか。いずれにしてもある種の割り切りというか経営判断が必要になるのだろうが、それは安易に「リスクを取る」と言えばいいというものではなく、リスクの大きさ・種類などを見極めたうえで判断でなければならないのは言うまでもない。

*1:そういうことによって金儲けをたくらむ商魂の逞しさが背後にあるのだろう。

*2:例えばメーカーにおけるNDAとかの多くは相対的にそういう外注化になじみやすいものであるのは確かだろう。