自動更新について

何のことやら。自分の頭の整理の為のメモ*1。部署の人と話をしたことを敷衍し、かつ、一般化した形でメモしてみる*2

 

一回きりのやり取りではなく、継続的に何かをやり取りするような契約であれば、契約に有効期間が定められることがある。そして、何らかの事情でその期間を更新することが想定される場合、契約期間をどう設定するかということを考える必要がある。NDAを取り交わして何らかの検討などをする場合が一つの例だろう。

 

その場合、そもそも契約期間を定めず、解除されるまで有効とするのもあり得るし、一定の期間に区切るものの、同じ内容で再度契約するということもあろう。その間に、契約期間は定めるものの、一定の期限までにどちらかの当事者がこれ以上契約関係を継続しない旨の意思表示をしない限り、契約期間を再度延長する(以後繰り返す)という自動更新の形があり得る。

 

この種の自動更新の形をとるメリットは、更新漏れが生じないということがある。その結果として、契約でカバーされていると思ったのに、契約が失効していてカバーされなくなるという危険は生じにくいということになろう*3。最初に上げた原則無期限とする場合も同様の結果になる。

 

他方でデメリットは、何かしない限り契約は生き続けるということである。契約の効力を失わせるためには、何らかの行為が必要ということになる。ここで気を付けないといけないのは、契約の効力を失わせようと行為をするためには、その契約の存在を認識していないといけないということで、こちらのこれまでの経験ではこの点が抜け落ちることがある。担当部署の改廃や担当者の離職などでこれらの点が引き継がれないと*4、ゾンビのように契約だけ残るということもあり、自社側では内容どころかその存在を把握していない契約について、相手方から持ち出される危険があることになる。

 

また、契約更新のための行為をするとなると、企業内であれば、稟議などが必要となることがあり、その際にその契約の要否、内容の妥当性などを再検討することにもなり、その過程を通じて、冗費削減などにつながる可能性もあろう。そういう意味では、漫然と更新しづつけるのが良いのかというと疑義があろう。自動更新だとそうした契機も生じにくくなる可能性もあるのではなかろうか。

 

期限を区切るのか、区切らないのか、という点について、仮に、どちらも万能ではないとすると、どう考えるか。ある種の「腹決め」をすることになろう。

 

考えてみるに*5、その存在を忘れることに問題があるから、忘れ去られそうにない契約であれば、自動更新でもよいのではないか。形のある役務提供とかであれば、そうした事態は生じにくいのではなかろうか。反面、無形のデータだけをやり取りをするようなNDAについては、危険なのではなかろうか。

 

...とまあ、まとまりのないことをメモしてみた次第。

*1:かつて似たような内容をエントリにしていたかもしれないが、その場合は現時点での頭の整理ということでご容赦願いたい。

*2:話した内容からは遠い内容にしているつもりである。また、例によってこちらの体感に基づくものなので、異論などがあるのは言うまでもない。

*3:実際にその種の主張が出てきたときには黙示の更新があったなどの主張で対応することは考えるべきだろうが。

*4:こういうことを書くと、テクノロジーで管理とかいう発想が出るかもしれない。しかしながら、期限管理の為のリマインダーとかは、適切な相手に飛ばないと意味がないし、その前提としてリマインダーを受けるべき相手が特定され存在する必要があるが、本文に書いた状況下ではその相手自体が存在しなくなることも生じる。外資系勤務の時にその種の事態をよく見た。企業内法務部門で集中管理というのも発想としてはあり得るだろうが、その管理の手間をどうするかという問題は別途生じるだろう。

*5:実はここからが本題だったりする