雑駁な思い付きをメモ。
契約書のチェックの際に、契約類型を問わずに入れるべき一般条項及びその内容についての汎用的なチェック項目としてどういうものを考えるか、ということをぼんやりとを考えている。契約審査のための「品質管理」*1という意味ではあってもよいのかもしれないと感じる。
あまりにも型どおりなもの(期限の利益喪失約款とか)を別にして、現時点ですぐに思いつくものとしては、順不同で次のとおり。網羅的でもないし、常に入れられるものでもないが。
- 契約関係からの離脱が自分の意思のみではできないという事態を防ぐために、一定事前通知で解除可能*2とするというもの。
- 契約関係の生成にかかるものとしては、自社が注文を受ける側の取引基本契約において、発注から一定日数以内に個別契約成立、という場合には、十分な日数があるか、ということ。特に年末年始・夏季等の長期休暇時も含めて、検討する。
- 損害賠償は、直接かつ現実の損害に限り*3、上限(入金済代金額を返金とか*4、継続的役務提供の場合なら、一定期間の入金済対価の全額返金)を付すとか。
- 契約不適合などに対する救済は、修理、交換、返金のいずれかをこちらで選択できるようにしつつ、それのみが唯一の救済、としたいが、無理であれば金額面での上限を付けたいところ。
- 補償についても、金額面での上限を付したい。
- 不可抗力については、感染症を不可抗力事由に入れておくことと、不可抗力事由が発生した後の措置が実施可能なものかの確認は必須だろう。
- 期限の利益喪失約款も、倒産などは実効性に疑義があっても一応入れておくことになるのだろう。
- 準拠法・裁判管轄は、馴染みのある範囲になっているかどうか。なっていない場合でその内容で妥協せざるを得ないなら、余計な費用が何らかの形で発生する可能性がある旨留意するようにいうに留めることもあろうか。
*1:個別の契約を取り巻く文脈が異なれば、文言についての審査結果・対応も異なるものになるので、「品質管理」めいたことを過度に強調することについては、疑義を覚える。とはいえ、抜け漏れのチェックという程度では意味があるだろう。もっとも取引上の力関係が弱い場合には、単に留意点を伝えて、「因果を含める」形になるかもしれない。こういうところを機会任せにするのが最近の流行りかもしれないが、この種の頭の使い方は、契約審査以外のところでも有用なので、安易に機械任せにして、法務担当者の能力が退化しないかという懸念も覚えるので、個人的にはそういうものの使用には現職の現時点での状況下では消極的に考えている。
*2:相手方が同意しない限り解除不可能という契約が締結されていたのを過去に見たことがある。
*3:この辺りの表現を正当化する理屈としては、リスクの定量的な範囲の予見可能性の向上、というところだろうか。
*4:入金済であることの限定を付さないと、一円も入ってこないうちに解除となって、持ち出しが生じてしまう危険がある。