わかる!使える!うまくいく! 内部監査 現場の教科書 / 浦田 信之 (著)

一通り目を通したので感想をメモ。内部監査についての入門書という意味では良いのではなかろうか。

 

公認会計士・公認内部監査人で、外資・内資企業で内部監査等の経験を積まれた著者の手によるもので、本書の狙いについて、「まえがき」では次のように触れられている。

本書は、内部監査部門で仕事をしている方、これから働く予定の方に対して、どの会社でも共有できる内部監査についての知識と、「このくらいの水準であればまずは大丈夫」というラインを示し、日々の業務に対する不明点や不安の解消を目指したものです。また、いきなり内部監査部門の運営を任された管理職の方、内部監査部門の充実を検討している経営者・監査役等のみなさまにもお役に立てる内容となっています。

こちらは、内部監査部門で働いているわけでも、知る限り働く予定もなし、運営もするよていもなければ、経営者でも監査役等でもない。要するに想定読者ではない、と思われる企業内法務部門の管理職だが、立場上内部監査部門とのやり取りは相応にあるので、内部監査部門がどういう仕事をする部門なのか、知っておきたいと思って手に取った。前記の用途とは異なるが、こちらの用途との関係でも有益な本と感じた。

 

内部監査部門がどういう立ち位置の部署であるか(監査役監査、会計監査との違いやJ-SOXとの関係)、とか、どういうところから内部監査を始めたらいいのか、管理職視点で新しく来た人にどこから仕事をしてもらえばいいのか、というあたりについて、海外もののエラそうな枠組みを最初から振りかざすことなく*1、まずは自社の現状の内部監査実務の理解から始めることを促す等、地に足の着いた解説がなされている印象を受けた。そういう意味で、内部監査部門に配属された方が最初に手に取るのにふさわしい内容になっているのではなかろうか。一番の基礎から入って、順をおって高度な話になっていくので、最初から通読するのが良さそうに思われる。文章も読みやすく、200頁余とコンパクトにまとまっているので、通読も容易だろう。

 

また、こちらのような企業内法務にとっては、部門ごとの監査のポイントの中で、コンプライアンス・法務関連業務の監査の狙いどころ、の記載は、想定通りの内容ではあるものの、監査を受ける側視点でも、興味深く読むことができたし、社内での存在感を如何にして向上させていくか、という視点での解説は、立ち位置の違いからそのまま真似をすることはできないとしても、参考になるところがあった。

 

敢えて何かを言うとすれば、入門書、としてみた場合には、本書の先への読書案内が欠けているのが惜しまれるところ、だろうか。機会があれば補充していただけると良いのではなかろうか。

*1:後ろの方で触れられているが、扱われ方も日本でそのまま妥当しない部分があることも踏まえて穏当な扱いをされているように、素人目には映る。