その道の先には

呟き等を基に脊髄反射的に雑駁なメモ。

 

内容的には、次にあげる一連のエントリの続きというところか。例によって、こちらの匿名性の維持の観点から、一部について歯切れの悪い部分が残ることはご留意いただきたく。当然ながら、一個人の経験又は観測の範囲に基づくのみなので、異論などがあり得ることは言うまでもない。

 

dtk1970.hatenablog.com

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大要、社会人、というか就業経験のあるの司法試験受験生(予備経由またはロー経由いずれも含む)、特に所謂第二新卒の時期を過ぎた後の年代の方、が合格を目指す意義について、報酬面だけからは説明がしづらい、要するに、最初の数年は、一旦報酬面では、それ以前の就業時の収入よりも低下する可能性があることを指摘する呟きに接した*1

 

確かに、こちらの場合、年齢的に40代後半、試験的に上位合格ではない、等の事情もあいまって、アソの時の給与は、直近の外資時代の半分以下(約半分という方が正確かもしれないが)になった。その限りで件の呟きは当たっているという見方も可能だろう。

 

僕自身は、企業内法務を日本の資格なしでやり続けられるのかという不安もあって、受験勉強をやり始めたし、合格後事務所で勤務してみて、自分の能力を前提にすれば、この先を言っても自分が望むものを得られるとは思わなかったから、企業内法務に戻る結果と相成った。この点に特に後悔はない。

 

どこまで一般化できる話なのかは分からないが、こちらの体感では、40代で合格する形だと経済合理性に見合う形で着地するのは難しいと感じる。受験勉強を続けるコスト(金銭面以外も含め)が高くなりすぎる気がするからなのだが。こちらは、その辺を度外視して始めたので、今もそのあたりは気にしないようにしている*2

 

こうした反応に対しては、それでもなお、司法試験に合格するのは、目指すに値する夢のある立ち位置だという指摘にも複数接した。夢があることを仮に争わないとしても、その夢が実現することが保証されるわけでもない。一定期間努力すれば、という指摘にも接したが*3、その一定期間について、生存と生活を維持するための手段が必要だけど*4、その方法は明らかではない。また、夢がかなう裏には夢破れる人が一定数いる。その点を踏まえず、明るい方だけを見るには勇気がいる*5。就業経験を経て、なおその勇気を持ち続けるのは蛮勇が必要*6と感じずにはおられない。

 

もちろん、金銭的なものがすべてではないが、特に40代以降の方におかれては、この道を目指すとしても、金銭面では厳しい道が待っている可能性が高いことには留意していただいた方が良いのではないかと思う*7

*1:当該呟きを批判する趣旨ではないので、リンクなどはしないでおく。

*2:気にしなくて大丈夫なのかは不明。

*3:呟いている先生が、それなりの地位を築かれている方ということも考えると、ある種の生存者バイアスがかかっていないか、という懸念を禁じ得ない。

*4:生存と書いたのは、#杉原千畝プロジェクト、に見られるように、メンタルに厳しい状況に遭遇したり、経済的に厳しい状況に遭遇する確率が一定確率で存在するからだが。

*5:他人のリスクについて助言することが職務に含まれるはずなのに、自分のリスクに対して無頓着でいいのかというとそれも疑義を覚えるところではある。

*6:もう少し直截に言えば、そういう無責任な煽りに安易に乗らないのが大人の知恵、と感じずにはいられない。

*7:それでも目指すというならば、まずは予備試験の択一の受験と論文答練の受験で、やっていけそうか適性を見るのが良いのではないかと感じる。そして、適性がありそうであれば、個別の状況を最大限生かせるよう学習プランを考えてもらうことが望ましいと思うし、その点を踏まえた個別指導が受けられるよう考えていただくのが良いのではないかと考える。