ヴィヴィアン・マイヤー「Self portraits」

謎の写真家、というべきVivian Maierのセルフポートレートの写真を集めた展覧会があったので見てきた。

 

1926年ニューヨーク生まれのヴィヴィアン・マイヤーは、シカゴのノースショアで約40年もの間ベビーシッターとして働きながら、余暇を使って写真撮影をしていたアマチュア写真家。作風はいわゆるストリートスナップで、生前は作品を一度も発表することがなかったため、2009年に無名の写真家として生涯を閉じた。しかし、彼女の死後、膨大に残されたネガやプリント類を手に入れたコレクター、ジョン・マルーフによりその存在が発見され、彼によって彼女の作品がインターネット上にアップロードされると、彼女の作品の持つ高いクオリティーは世界中のアートファンの知るところとなった。

https://imaonline.jp/news/exhibition/20201009-2/

 

上記の英文のサイトで見られる彼女の写真を見ると、ものすごくストレートなストリートスナップという印象が強い。躊躇うことなく、撮りたいものを撮る、という意味で極めてシンプルでストレート。それができる強さというか、ある種の無神経さを持っていたということなんだろう。僕には絶対撮れないと感じる。残されている言動からしても、間違いなく「変人」だったと思われた。写真も撮影しても現像をしない状態のものが膨大に残っていたうえ、それ以外にも膨大な量の諸々のものが残されていたことからすれば、撮影行為自体も、収集癖(癖というよりも強迫観念という方が良いのかもしれないが)の一環なのかもしれないと思った。写真に撮ることで目に映る興味を引くものをスクラップすることが目的だから、撮った後のことは気にしていない、という感じなのではないかという気がした。

 

今回のセルフポートレートは、一連のストレートスナップよりは、何故か腰が引けているという印象だった。鏡とかに写る自分の姿を撮ろうというのだから、一定の距離があく形になるのは理解できるのだが、それにしても、というところ。自分自身が被写体ということに起因するのかもしれないが。ともあれ、ポートレート自体は、個人的には、上手いな、撮りなれているな、という印象だった。単に鏡に映った自分の姿というだけでなく、硝子に写った自分の姿とかを上手く捕まえているのが技術の確かさをしめしていると感じた。

 

いずれにしても、僕は最近知った写真家なので、以前彼女の生涯を追う形で作られたドキュメンタリーは見ていない。どこかで見たいと思う。また、他の作品もプリントで見る機会があれば見たいところ。

 

彼女が「発見」された後に作られたドキュメンタリーがあって、DVD化されているということなので、