合格体験記のようなもの

何のことやら。中小企業診断士の試験について、受験を考えている元同僚に送ったものを基に受験体験記のようなものをメモしてみる。2024年に合格した際のものということで御覧いただければと思う。

(なお、一部ココスタの宣伝を兼ねていることを付言しておく。ちなみに3/15 21時からスタートダッシュセミナーが開催予定です。)

 


0 前提等
(1)試験の全体像
中小企業診断士を名乗れるようになるまでは、1次試験(7科目)突破(突破すると翌年の1次は免除)→2次記述→2次口述→実務補習又は実務従事15日間、という各ステップをクリアして登録できるようになる必要がある。こちらは最後の実務補習/実務従事はこれからなので、以下は、試験についてのみメモしてみる。
 
(2)こちらの状況等について
ア 手持ちの資格等について
弁護士資格があるので1次試験7科目のうち、経営法務と財務会計は免除となる。前者は理解し易いが、後者は弁護士が税理士法上、税理士になる資格があることに起因するものらしい。免除を受けるためには1次試験の申込時に証明書類のコピーを送る必要がある。可処分時間の有効活用の点からは、使える科目免除は使うに越したことがない*1
それとは別にITパスポートは1次の情報科目で有用だった気がする*2
イ 予備校などの利用について
試験は3年目に最後まで合格した。
予備校は初年度に1次でアガルートと2次でKEC、3年目で2次で事例IV(財務会計)についてTACの単科を利用した程度で、2年目、3年目はオンラインの受験支援団体ココスタの勉強会を中心に勉強した。なおココスタは今年は運営側に回っている。
ウ 試験結果について
1次試験は、自己採点で、初年度(2022年)は、経営64、運営64、情報64、経済56、中小61。3年目(2024年)は経営79、運営66、情報68、経済52、中小49であった。
2次試験は、初年度(2022年)は、事例I 70、II 54、III 64、IV 45で233。
2年目(2023年)は、事例I 54、II 63、III 67、IV 46で230。
3年目(2024年)は、事例I 64、II 65、III 72、IV 65で266、であった。
事例IV(財務)が足を引っ張っていたのが改善して何とか合格したというところか。事例III(運営管理)はメーカーの事例が出るので、メーカー経験をうまく使えた模様*3
 
1 1次対策
(1)インプット
初年度(2022年)は1次はアガルートの講座でインプットの学習をした。運営管理担当の西口先生が弁護士で司法試験予備校(辰巳)で教えているときの教え方やモチベーションの上げ方が良かったので選んだが、結果的には悪くない感じだった(他を知らないので比較しようがないけど)。予算的に厳しければ予備校のTBCがテキストを買うと、そのテキストに即したyoutube講義をしているので、それを使うのも手かもしれない。3年目のときに中小と経済学だけ使ったけど、可もなく不可もなくという印象。
そのうえでさらに、まとめシートを活用した。まとめシートは、解説込みの書籍よりも、書籍購入特典のまとめシート部分のpdfをダウンロードし、A4をA5に縮小して印刷したものを6科目分1冊のノートに貼り、それを移動時に持って歩き、別途購入した内容読み上げの音声データをICレコーダーを使い、倍速で聞きながら、眺めて、知識の定着に繋げた。
 
(2)アウトプット
多岐選択のマークシート試験なので、基礎的なインプットを済ませた後はひたすら過去問を繰り返すのが基本になると考える。同文館の過去問マスターが体系的に過去問を編集しかつ法令改正分は内容を改題していて良いのだが、分量が多いので、全科目は使わずに、2次での重要度が高い、経営理論と運営管理、および、中小企業白書の内容次第で出題のされ方の変わる中小、だけ使った。また、全科目について、アガルートから配布された年度単位で過去問がまとめられている過去問集も使い、点数がどれくらいとれそうかも確認した。
なお、法令改正との関係では、経営法務と、労働法令を含む経営理論については、1次を受ける都度最新の問題集を買って使った方が良いと考える
3度目は1次から受けなおしたが、オンライン勉強会のココスタで進捗スプレッドシートが共有されたので、進捗を記して、他の受験生の状況と照らし合わせながら、2次とのバランスを考えつつ、モチベーションの維持にも役立てた。
1次は平均60点が取れればよいので、不得意科目を得意科目でカバーするという発想も、リスクはあるけど、あり得るだろう。こちらの3度目のときはそういう形になった。
 
2 2次記述式対策
(1)総論
事例が4つでて、それぞれ80分で解く。
Iが人事組織戦略、IIがマーケティング、IIIが運営管理、IVが財務で、電卓使って計算する財務が最後にあって、他とは対応が異なる気がする。
基本的には、「ふぞろい」シリーズを羅針盤に使うのがよさそうと感じた。再現答案と公開されている点数を基に分析して自己採点が可能な形になっている。分析精度に限界があるものの、それで勉強して受かっている人がいるから、信用してよいと考える。
いずれにしても、80分の時間を計って手書きで答案を書いて解かないと解けるようにならないというのが実感。なお、過去問と回答用紙はAASのサイトにまとめてあり、そこからDLして使っていた。
こちらは初年度はKEC、2年目、3年目はオンラインの勉強会のココスタに参加しそれを中心にして、3年目はさらに事例IV対策で個別にTACの単科を取る等した。KECは答案の検討とかが不十分な感じで個人的には合わなかったが、教材でもらったロジックツリーは1次試験の知識を2次用に整理するツールとして優れていて最後まで使っていた(書店で買えるものとしてはTBCの抽象化ブロックシートが似ているが、アレよりは内容がシンプルで項目だけしか記載していないがそれで2次対策には十分と感じた)。
事例I~IIIについては時間を計って過去問等を解いて手書きの答案も作ってみて(なお、2回目以降に解く場合は、内容を記憶していることなどに鑑み、時間を70分にして解いていた。)、その内容をココスタの勉強会で他人の目にさらしてコメントをもらったり議論をすることを通じて、理解を深めたり、勉強仲間ができることによるモチベーションの維持ができたことが有用だった。勉強会後にふぞろいで採点して、自己ベストの答案を再度PCで作るのも復習になった。
ココスタではそれ以外にも100字トレーニング(与件文なしに設問だけの問題を解く)やいきなり設問解釈(勉強会のその場で問題を出されて解くことで瞬発力が鍛えられる)も有用だった(100字トレーニングは同様のものをEBAでもやっていて、購読はしていたが、一人でやるとモチベーションが足りずあっさり挫折した)。また、ココスタでは、discord上で合格者に質問ができるのもありがたかった。また、ココスタの勉強会後の談話室で些細なことも聞けたり、モチベーションが枯渇しがちな時に激励をしてもらうなどしたのもありがたかった。
いずれの事例においても、与件文(要するに社長のヒアリングをまとめたものと理解しているのが良さそう)があって、それを受けての設問があって、それにこたえる形になる。設問で何が聞かれているか、何を答えるべきかを分析して、与件に書いてありそうなことを想定しながら、与件文を読み、書かれている要素で使えそうなものを拾い出し、それをどの設問で言及するか考えて、それらを基に回答を作成することになる。経営コンサルとして社長の言い分に耳を傾けて助言をしなければ、助言を聴いてもらえないだろうと考えると、与件に書いていない明後日のことを書くのは、社長の話を聞いていないのと同じで、書いた内容以前に論外という話になりそうなので注意すべきと感じた。この辺りは問題を解きながら体感するしかない。
また、正解が何か特に明確に示されるわけではないので、リスク回避の観点から、与件文にある使えそうな要素をなるべく多く(多面的に)、短縮しつつ、与件文から拾っていることがわかる形で答案に盛り込むことが得点を拾いやすくするものと思われる。この辺りは、ココスタで答案をさらして、合格者などから指摘をうける中で鍛えられた。
以上に加えて、初年度は予備校の模擬試験を受験した。エネルギーの消耗の仕方、それに対する補給の仕方(眠くならないような形が良い)、および、未知の問題への対処の仕方を学ぶのが主であり、問題の出来がイマイチなのが大半なので(作成に費やせる労力と作成者の質を考えれば明らか)、点数とかを気にする必要はないだろう。上記の点を学ぶ意味では、解いたことのない年度の過去問を試験と同様の時間帯で解くセルフ模試でもよいかもしれない。3年目は実際にやってみた。
それと、最後の方で、ファイナルペーパーという会場に持ち込んでみるためのものを作ることがある。ネットにある他の人のものに加工するのでも良いだろう。僕はそうしたがそれで困ることはなかった(僕はこちらのものに加筆したものなどを使っていた)。トイレとかに並ぶときにそういうものを持っていると、そこで最後のチェックができる。
また、試験後には再現答案を作ると良い。できればその日のうちに、遅くとも1週間以内に。予備校などで採点サービスなどもあるので、それにも応募できるし、何より万が一結果が悪かった時にもどこが悪かったのか検証しやすくなる。
 
(2)各論:事例I
人事・組織・戦略系の問題なので、他の事例っぽくならないように回答に気を付ける必要がある(他の事例でもそうだけど)。
良く使う問題を解くうえでのフレームワークとしては、次のあたり。
さちのひもけぶかいねこ:採用、賃金、能力開発、評価、モチベーション、権限移譲、部門、階層、ネットワーク、コミュニケーション
茶化→サハホイヒ:採用、配置、報酬、異動、評価
ケタシリ:権限移譲、多角化シナジー、リスク分散
経営者の年齢は確認し、高齢であれば、事業承継の話をすることになるはず。
 
(3)各論:事例II
マーケティング系の事例で最初にSWOT分析や3C分析をして、残りの設問に続く。分析に使った要素は、他の設問でも使うはずなので、使い漏れに注意。逆に、他の問題を解いてから最後にこれらの分析を解いて、そのほかの設問で使ったものを分析に入れるというのもあり。僕はそうしていた。
 
(4)各論:事例III
運営管理というか、ダメなメーカー(技術はあるがそれ以外がアレ)の改善を試みるのが通常か。あちこちダメなので、ダメなところを拾って、どこの設問で議論するかを振り分けて、もれなく議論の俎上に載せていることが重要と思われる。
振り分け方としては、生産現場の話(生産管理)か、生産計画・統制の話か、という視点と、受注~仕様決定~材料発注~製作~納品、のどこの話かという視点で考えると良いのではないかと思う。
情報化ではDRINK(データベース化、リアルタイム更新、一元管理、ネットワーク、共有)で考えるとうまくいくことが多い。

(5)各論:事例IV
最初に財務分析があり、その後にCVP分析やNPVの計算などがあり、最後に記述式の問題があるというのが標準的な形と思われる。計算問題については、計算が合わない可能性が高いので、計算過程で自分の理解をアピールすることで部分点を取りに行くのが重要と思われる。
事例IVについては、ココスタでもセミナーなどもありそれはそれで有用ではあるものの、結局は計算問題で手がスムーズに動くようにならないと点にならないというのがこちらの印象。初年度と2年目は点が伸びなかったのは、過去問を解くのに重点を置きすぎて、それより手前の基礎的な練習が不足していたためと思われたので、3年目は、30日完成を3周→メルカリで買ったTACの事例IV特訓問題集を3周→TACの事例IV特訓の単科で問題を3周→過去問5年分を時間を計って解くのを3周+α、などした。30日完成やTACのテキストは順を追って学習するので、それを繰り返すことで基礎力がついて得点力が伸びたものと思われる。
 
3.2次口述
落ちる人がいないなどといわれるが、0ではないようなので、対策はすべき。
2次の記述の事例を基に試験官から出る質問に答える(全体が10分程度、2事例について訊かれて各事例2問聞かれるので合計4問が通常。時間があまると追加の質問が出ることがあり、僕も1問追加で訊かれた。)というものなので、前提として、2次の記述の事例の内容を把握しているのが必須。
記述式試験の問題の事例の把握という意味では、予備校とかの解説を読むのもありだが、まとめシートの野網先生が与件文を読むというのをyoutubeにあげてくれているので、それを聴くのもあり。僕は倍速で繰り返し聞いた。
そのうえで予備校や受験生支援機関がやっている口述模試で、実際に模擬面接をやってみると良い。僕は2つ参加した。参加すると想定問答集がもらえるのが通常なので、与件文を読むのに加えてそれを読み込むことで、おおむね対応できると思われる。
診断士として実務補習/実務修習に出してよいかという観点からも見られるようなので、客先にコンサルに行くときの服装でいくこと。男性はスーツで行くべき。
試験は冬場なので、体調管理に気を付けて、まずは会場に行くことが重要。時間厳守なので、集合時間よりも30分前とかに着くくらいでよい。

*1:弁護士だと経営法務で変な点が取れないと、妙なプライドで勉強を頑張ってしまうと、他の科目に割く時間が減ってしまうという弊害も想定できるところである。

*2:他方でLLM留学時にコーポレートファイナンスを学んだことや簿記2級をかつて取ったことは、有用ではなかったとまでは言わないものの、事例IVとの関係では、考え方がわかるというレベルにとどまり、手を動かせるところまで至っていなかったので、それほどご利益を感じなかった。ここはひとえにこちらの勉強不足ゆえのことだが。

*3:自分の経験に引っ張られすぎるとかえって得点が取れないケースもあり、対応が難しいところである。どうしたらよいのか、よくわかっていないが。