月刊法学教室 2025年 02 月号

例によって、呟いた感想を基に、目を通した記事の感想を箇条書きでメモ。

  • 巻頭言は、会社法の世界での現状の難しさの鳥瞰というところなのだろうか。そういうものかなと思いつつ読む。
  • 法学のアントレは法学×スポーツで、スポーツ×ルールメイキング。アメリカ国内のバスケットボールのルールでも大学とNBAとで異なる発想で異なるルールが取られている点等の指摘が興味深く感じた。
  • 特集その1は少年法の基本。
    川出先生のイントロの文章のあとは、藤永判事の少年保護事件の調査・審判。架空事例を使っての手続の説明がわかりやすく感じた。
    保護処分の法的性質と内容は、特定少年とそれより下の少年との扱いの差異についてどのように理解するかの議論に初めて接する。こういう話は成人年齢の引き下げの前に片を付けておくべきだったのではないのかという気もした。
    逆送決定と送致後の刑事裁判は逆送決定の前後の連続と断絶の分析が興味深い。
    特定少年の処遇は、最後に触れられていた特定少年の年齢引き上げ論になるほどと思う。中二階の「広さ」を広げることにはそれなりの意味がありそうな気がした。
    付添人の役割と活動は、弁護士サイドからどういうことをするのかという説明になるほどと思う。
    この特集も普段のこちらの日常の業務範囲からは縁遠く知らない世界の話で、なるほどと思いながら読んだ。
  • 特集その2は死者と法。
    イントロの文章の後の、最初の死者とは誰か、は、フランスの近時の2件の立法が興味深い。
    死者になるはドクター・キリコが引き合いに出される段階でグッとくる(謎)。個人的には自分が50代半ばというということもあってか、「死ぬ権利」を正面から認める議論に興味を覚えた。
    死者を送るは、東日本出身なので、関西の風習は知らなかった。最近ではグローバル化?の影響が気になるところ。
    死者は居残るは、指摘されている問題点については、立法論での解決がやはり素直なのではないかという気がした。
    死者は蘇るは、AI美空ひばりについて「冒涜」と叩き切った達郎さんの意見に同意で、故人の生前の明示の同意の範囲でのみ可能とすべきだろう。所詮エミュレーターでしかないのだから。
    この特集も普段意識しない分野の話で、いろいろ興味深く感じた。自分の年代もあって特集1よりは身近に感じたが。
  • 講座。
    憲法は政党。現在の日本の政党の問題点についての指摘は納得できるところもあるが、政治文化そのものについての分析が十分なされているのか疑問が残った。
    行政法国家賠償法2条の賠償責任。自然公物についての議論は何だか微妙と感じる。
    点と点をつなぐ不法行為判例は、同性カップルの関係と不法行為法。「不法行為法学・不法行為法理論の使命は、多様かつ可変的な価値判断を取り込みうる理論枠組みと論理体系を用意することにある」という一節に納得。
    会社法の時計は組織再編。「19世紀のヨーロッパでも、そもそもそのような行為ができるかどうか自体が議論の対象であった」という指摘に驚く。そういう議論自体想定できていなかったので。
    民事執行・保全の考え方は金銭執行の対象財産。債務者の財産状況の調査手続がどの程度実効性があるのか、が気になった。
    刑法は虚偽供述による犯人隠避罪。保護法益の検討を興味深く感じつつ読む。
    刑訴は量刑手続。裁判員裁判制度下での手続二分論の意義の指摘についてなるほどと思う。
  • 演習。
    憲法生存権とその実現における自由の制約。生存権周りの制約についての論じ方は、受験勉強時点では学ばなかった(と記憶している)。この場面での比例原則の使い方もなるほどと思いながら読む。
    行政法。損失補償、特別の犠牲、住民訴訟というあたり。本件支援金の扱い方が内部的な要綱で定められているだけだと、要綱違背の扱いもそうなるよなと納得。
    民法。詐害行為取消権あたり。債権法改正後の規律が今一つ理解できていない気がする債権法改正前世代(汗
    商法。会計帳簿等閲覧謄写請求権のあたり。新株予約権の行使や新株発行で少数株主権の持株要件が不充足になった場合の扱いは、株主側に特段の事情を立証させるのは、株主側と会社側との情報格差を考えると株主側に酷なのではないかという気がした。
    民訴。文書提出命令。決定済の事項の社内通達はそうなるだろうなというところ。
    刑法は文書偽造罪。そういうのあったよなと思いつつ読む。
    刑訴。伝聞・非伝聞の区別と伝聞例外要件。「この人すかんわ。いやらしいことばかりする」と出てくると某事件が必然的に想起される。
  • 判例セレクト。
    刑事事件の訴訟費用と通訳料は、人権規約抵触の理由として解説で挙げられている2つの理由のうち1つ目には無理があるのはないかと感じた。
    公社住宅借地借家法32条1項は、示された判旨に納得.
    取締役の報告義務違反を原因とするストックオプション無償取得の機会逸失により会社が受ける損害は、解説で示される報酬の返還を強制する条項で対応するのが良さそうな気がした。
    検察官による被疑者取調べの録音録画記録媒体に対する文書提出命令の民訴分では共犯者とされた者との和解が持つ意味が興味深い。
    名誉毀損罪における公然性の認定は、伝播性の理論を踏まえても事実関係からすればそうなるよなという判旨。
    検察官による被疑者取調べの録音録画記録媒体に対する文書提出命令の刑訴分は解説最後での指摘が興味深い。