一通り目を通したので感想をメモ。法学部に入学して真面目に法学を勉強するつもりの学生さんであれば*1、間違いなく目を通しておくべき本。
もともと積読山の中にはあったのだが、先般の講演会の際に著者にもサインをもらおうとして、書籍を持参してなかったため*2、会場で調達してサインをもらった。サインもいただいたことだし、講演会での著者の発言からすれば、第2版もそのうち出るはずのようなので、出る前に目を通そうということで今回目を通したもの。
著者ご本人が本書で書かれているように、著者の学び方についての試行錯誤等を基に、高校を卒業して法学部に入学した学生が卒業するまでの間の学び方について、時系列にそって*3、かつ、かなり細かくステップを刻む形で解説したもの。これまた先般の講演会で著者が述べていたように、法学を学ぶ上での暗黙知をかなり丁寧に拾って、言語化している。本書を読んでおくと、法学部でどう学習すべきかという点について、どこまで実践できるかはさておくとしても、迷うことは相当減るのではないかと思える。そういう意味では、法学部で真面目に法学を学ぼうとする学生の方であれば、まずは全部に目を通しておくことが望ましいと考える。
あと、もう一点、印象に残ったのが、著者が自身の経験の「活かし方」が巧みなところである。アルバイトやサークル活動などの経験も「学び方」に繋げているあたり等は、なるほど、と思った。似たような巧みさを、松尾先生(本書の出版過程にも関与されたようで、「おわりに」で謝意が示されている)にも感じるところではあるが。
いずれにしても、法学部で真面目に法学を学ぶ方にとっては読むべき本といえ、昨今のリモート下での大学生活というあたりも踏まえた改訂版が早期に出されて、その後も適宜さらに改訂がなされることによって*4、長く、読み継がれてほしいと思う。
*1:法学部の学生がすべからく真面目に法学を勉強するべきかというと、個人的にはそう断言するには躊躇うものを感じる。大学生ならばすべからく真面目に学問を学ぶべきとは思っていないうえに、こちらのように政治史を学びたいと考えつつも、親に文学部受験を止められ、やむなく、法学部を選んだような立場(当時はそうだった。)からすれば、法学とが邪魔と感じたし、そういう向きには本書のような本を進めるのが適しているとは思い難い。
*2:白石先生のサインはいただけるものと想定していたが、著者についてはそういう想定をこちらがしていなかったためである。冷静に考えれば想定してしかるべきだった。
*3:卒論があったり(こちらの出たところのようにないところもある)、専門科目の入り方が異なる形の場合もあることには留意が必要かもしれない。
*4:その際は某鼎談の続編が開催されることになるものと期待する。