気の迷いで手に取って、一通り目を通したので感想をメモ。この分野に関心があるのであれば、目を通しておいて損はなさそうな一冊。
エンタテイメント系で著名な骨董通り法律事務所(同所からスピンオフした高樹町法律事務所を含む)の先生方が、この分野の法実務を概説している。全体は10章構成で、1章で総論として、ビジネスの全体像と適用される法領域を概観したのち、2章以下は各論で、映画・テレビ、音楽、出版・マンガ、ライブイベント、美術・写真、ファッション、ゲーム、スポーツの各分野について、市場概要と主なプレイヤー等のビジネス態様についての説明、関係する法実務の概要ののち、代表的な法律実務上の問題を解説し、最後に当該分野における参考文献(法律論以外のものも含め)を挙げるという形になっている。各論の章で概ねそのフォーマットが維持されており*1、通読しても違和感はあまりなかった。この辺りは福井先生のリーダーシップが発揮されたところなのだろうか。
各論として章立てされている分野を見ても分かるように、かなり広い分野を扱っており、どこまで網羅的かどうかはさておき、エンタテイメント分野の法務の全体像を鳥瞰することができる形になっているのではないかという印象を受けた。それぞれの分野においても、関係する法令が横断的に取り上げられており、それぞれの分野において、経験と蓄積があるからこそ、ここまで書けるのだろうと感じた。
本書は、各論の各分野のいずれかの法務業務をする上では、まず目を通し、座右において紐解いて、その後の業務におけるリサーチの足掛かりとなるべき一冊となっているように感じた。最初に通読することで、その後のこの分野での業務の見通しが良くなるようにも感じる。願わくは、今後も適宜のタイミングで内容を更新して*2、長らく読み継がれてほしいと思う。
