詭弁論理学 (中公新書 448) / 野崎 昭弘 (著)

一通り目を通したので感想をメモ。

 

大学時代、特に教養学部自体に既に読むように勧められていたような本だったはずだが*1、学生時代に目を通した記憶がなく、そのまま来ていたが、10年ほど前に気になったようで、ブックオフで買ったものの*2、結局読まないままだった*3。なんとなく気になったので、今回一気に目を通してみた。題名などもあって、面倒そうな本という気もしたが、実際に読み始めてみると、そもそも200頁余とそんなに分厚い本ではないこともあって、それほど面倒でもなかった。どこまでこちらが内容を理解できたかは怪しいところが残ることは否定できないとしても。

 

詭弁とか強弁には、日常生活の上でも、幸か不幸か、いろいろなところで遭遇するわけだけど*4、そういうものに対して、どう応対するか、を考える上では、手元にあってよい一冊ではないかと思う。新書で邪魔になるようなサイズでもないので。中で出てくる論理パズルの類については、こちらの世代だと、多胡輝さんの「頭の体操」シリーズを想起した。そういうものをある程度体験しておくことで、その種の言辞に対して不用意に冷静さを失って、変な対応をしてしまう危険性を少しでも減らせるのであれば、それはそれで意味のあることだと感じる。その意味で、二分法、相殺法、消去法、ドミノ理論*5、といった個々の戦術への対応方法のチェックポイントがあるのは有用と感じた。内容を一読したうえで*6、これらのチェックポイントを見ながら、その種の詭弁等に対応して行くと良いのではないか。また、何らかの理由で議論をする必要が生じた際にも、自分が意図せずに詭弁等を弄することにないように*7、注意する上でも本書の記載は有用と感じる。

*1:生協の書籍部とかでもその旨宣伝されていたような...。

*2:レシートが挟んであったので気づいた。

*3:そうこうするうちに改版されたものが出ているようだが。この種の事態にもまま接するところである。

*4:その種の言辞が一番跳梁跋扈しているのが、永田町界隈をはじめとする政治の世界のように見受けられるのが困ったところである。論点のすり替えとかは、比較的、見る気がする。

*5:この言い方もひどく懐かしい印象がある。高校の世界史の授業でその表現に初めて接したはず。

*6:一読しないと、チェックポイントの記載の意味がわからないだろうと思う。

*7:残念ながら、時として、意図的にこの種の行為をしなければならなくなることも想定可能なのも、否定しがたいところではあるのだが...。