いつか見た青空は /中野翠 (著)

図書館で借りて一通り目を通したので感想をメモ。

 

中野さんの「サンデー毎日」での連載を一年分(2021年9/10月-2022年9/10月)まとめたもの。毎年12月ごろに前年10月ごろから当年10月ごろのものが単行本化されているはず。従前の小林信彦さんの連載同様に、図書館で借りて読む形が続いている。置き場所の関係で購入はしていないが、出ると近所の図書館に入るので、若干のタイムラグを経て目を通すことができる。

 

コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻開始などがある中、引きこもりがちなところからも脱しつつも、中野さんは相変わらずお元気そうで、前年のものよりは文章に活気が戻ってきたような気がしないでもない。世間への関心のありようには、ある種のミーハーさ加減にブレがないように感じる*1。文章については、リアルタイムから少し遅れたクロニカルとして読んでいるが、当時耳目を集めた事象についても、既にそういうことがあったなと、忘れつつあるのに気づく。もちろん芸能関係の話などはほぼ知らない話なのだが。その他、スマホの機種変更で戸惑うあたりは、年代からすればさもありなんという感じだし、AIBOも養子に出す結果になった点も、なんとなく納得のいくところだった。

 

今回読んで気になったのは、ご本人の周囲でのいくつかの変化の兆し。お住まいを移られること*2、これまでのシリーズに関わっていた菊池信義さんの逝去*3、それから、掲載誌のリニューアルに際しての連載の分量の半減*4というあたり。最後のものによって出版のペースが落ちるだろうし、それ以外の変化もどう影響するのか、気になるところ。

 

いずれにしても、単行本になったら一度は拝読するというマラソン状態は、本が出続ける限り続けるつもり。気長に待たせていただきますので、続編をお待ちしております。

 

*1:テレビ番組もこまめにご覧になっているのが凄いと思う。こちらは受像機を処分して以降、自宅では見なくなって久しいし、出張などでホテルに泊まっても、見るに堪えるものが少なく、結局あまり見ないから余計にそう思うのかもしれないが。

*2:ご自宅のマンションの建て替えで引っ越し予定の記載があった。

*3:文章中にも言及がある。本文レイアウトをされていたとのこと。レイアウトがずっと統一されていて、これが変わると、読み手側には違和感が出るかもしれない。

*4:体力の低下が挙げられているのも気になるところ。体力の低下は気力の低下にもつながるので。