何のことやら。このエントリは、#裏legalAC 企画参加エントリです。
よくわからない経緯で、よせばいいのに裏表裏と3連投でカレンダー企画に付き合うということになった*1。自転車操業で日々blogを維持している*2こちらに、そんなに都合よくネタがあるわけがない。元来カレンダー企画の敷居を下げることにしか貢献できていないが、それにしてもある程度ちゃんとしたネタはやりたいとなると、余計に悩む…が、何よりネタがない。
というわけで(謎)、TL上でリクエストを募集したら、次のようなものがきた。リクエストをくださった、ちくわ先生ありがとうございます。
法律とか法務の本を買うときや読むときに意識していること
— ちくわ✌︎('ω'✌︎ ) (@gigakame) 2022年11月30日
買った本の写真とかをupしているせいで、本をたくさん買っているように見えるのかもしれず*3、それが故に斯様なリクエストを頂戴するものと思われる。こちらごときが偉そうに能書きを垂れている場合かという気もするが、ネタもないこともあり、せっかくなので、こちらが法律書を買って読むときに考えているはずのことについて、雑駁ではあるが、メモをしてみることにする*4。当然のことながらこちらの現時点での体感に過ぎないし、こちらがこうしているというだけのことなので、反面教師以上の役に立たないかもしれない。お前ごときの話など役に立つのか、と思わないでもないが、一つご容赦を(汗)。
第1 買う時に考えること
1 外形的な判断要因
中身以前に考えることがある。見も蓋もない話ばかりだが。
(1)予算
自腹を前提にすれば、一番大きな制約要因がこれであることはいうまでもない。
とはいえ、詳細については略(謎)。
(2)場所
予算と同様に重要な制約であることはいうまでもない。収納場所の問題は重要である。しかし、こちらも詳細については略(謎)。
(3)取りまわし
無闇にデカいとか無闇に重いと、僕の場合は手に取らない可能性が高いので、購入対象から外すということになる。某ハーレム教授(謎)の某大辞典(謎)は、この点から買わないと判断した。
(4)字組等の見た目・手触り
字組とかが読みにくいと老眼にはつらい(汗)。読むのがシンドイ本は買いたくない。
同様に、手触りが気持ち悪い本も手元に置きたくない*5。
この辺りは、自分が現物に接してみて、違和感があると買わないという判断になる要素ということになる。
2 実質的な判断要因
(1)積極要因
ア 現物を見る
「三現主義」ではないが、できるだけ、現実の書店で現物を見て、確認するようにしている*6。なので、現物を本屋で見て、決めることが多い。数頁見てみて、買おうと思うか、というところが判断基準となる。
買おうと思う判断基準は、あってないようなもの。特定の調べ物をする必要があって買う時は、調べ物に役立ちそうか、という分かりやすい基準があるが*7、それ以外の目的で買うことの方が多いし、それは、将来的に必要そうになる事態に備えるとか、基本的な分野の知識の補強またはアップデートなどだが、その際の基準は、単なる直観である。そしてその直感は往々にしてはずれて、積読になることが大半である*8。
しかしながら、5年とか積読山にあったものが、ある日突然調べ物の答えを示してくれたりすることもあるから、油断禁物である。
イ 信頼できる書き手・出版社
僕ごときが偉そうに言う話ではないので固有名詞はあげないが、書き手や出版社の信頼度というのも、前記の判断に影響することがある。
定番の書籍の改訂版*9や判例百選の改訂版のようなものは例外的に、あまり確認せずに、都度ほぼ機械的に買っている。こうしたものは、手元にあることで、調べ物の役に立つ可能性が高いと考えているからである。
ウ 信頼できる読み手の評価
立ち位置が近いと思われて、かつ、従前の情報発信の内容から信頼できる読み手というのが一定数いて、その方々が勧めている本については、やはりチェックする*10。
(2)消極要因
ア 「逆神」による推薦の不存在
前記とは逆の方々もいる。あくまでもこちらの需要と指向/嗜好との兼ね合いで決まるので、必ずしも該当する方々について批判をする意図とは限らないことに留意されたい。気まずいのでこれ以上の詳細は書かないでおく*11。
いずれにしても、一つ留意しておくべきは、買い逃したら高くつくことが多いということだろうか。迷ったら買うというのはその意味では正しい(他の意味で問題になり得ることはいうまでもない。)。そう思いつつも、買い逃したまま絶版となり、後悔する例は少なくない。
3 情報源
書籍の情報源は、以前の#萌渋スペース に伴うエントリで書いた通りなので、そちらをご覧あれ。情報があっても、現物で確認してから購入するのが基本なのだが。
第2 読むときに考えること
1 目的
無目的な読書もそれはそれで楽しいことは経験的に知っているが、読むのが早くないこともあって*12、そういうことはあまりできていない。
こと法律書の場合、何らかの目的があって買っていることが大半なので、それに従って読むことになる。
(1)業務上の調べ物目的
調べ物の内容に即した読み方をするしかない。往々にして時間の制約の中での対応となるから、通読することは難しいだろう。必要と思われる箇所+αに目を通すのが関の山ということになるのではなかろうか。
(2)インプット目的*13
目の前の調べ物目的以外でも、将来の必要に備えて読む場合がある。判例とかの進展に応じた知識のアップデートというのもそういうものに含まれるだろう。その種の営為は法務という職種であれば、避けられないというべきであろう*14。そういう場合は、基本的に全部一通りは目を通すようにしている。どこの部分が役に立つかは分からないので。途中で挫折して放置ということもあるが、そもそも目を通さなくても直接の実害が見えているわけではないので、直ちには問題とならない(と思うことにする。)。もっとも、こちらの能力面の準備が整わずに、読み進められない本というのも時に存在するし、そういうものについては、日を置いて再度挑んでみるのも良いのではないかと思う。結果的に積読にならざるを得ないこともある、ということになろう。買い逃して後悔するリスクを考えれば、そういう結果になったとしても、買ったことには意味があるという評価もあろう。
後日の調べ物に備えるという意味では、この本にこんなことが書いてあるというイメージを頭に残すことが、目を通す際の最低限の獲得目標かもしれない。調べたいことがあって、手元にある本に書いてあるのに、それを見落とすのでは勿体ない*15。
2 メモの取り方
あまりまめにメモを取りながら読むことはしないが*16、時にはすることもある。その関連でいくつかのことをメモしておく。
(1)本は天下の回りもの
場所の制約の関係で、用済みと判断した後は、book offに放流することを想定している*17。
それもあって、原則として、本は極力原型をとどめるようにしており、書き込み等はしない*18。精々付箋を貼る程度。ましてや自炊などしない。
(2)下書きモードで呟いて、まとめる
紙にメモをとっても、その紙が行方不明になることも想定される。デジタルだってデータが見つからなくなることも想定可能だろう。そういうこともあって、このblogのネタ不足を補う意味も込めて、メモ代わりに呟きながら読むということもある。手間がかかるので、それなりの本でやるのがお薦め。結果的にゆっくり読むことになるので、しっかり読めるような気がする。呟いたのを纏めてエントリにしておくと、blogのネタになるだけでなく、後で自分でも検索しやすい。こちらが一例となろうか。
…とまあ、こんなことくらいしか書けることがないのだが、エントリのハードルが無闇に高くなってもよろしくないので、ご容赦いただければと思う。
次は、浅井健人さんです。宜しくお願い致します。
*1:この企画の開始当初は人が集まらずに複数回エントリしたこともあったので、初めての体験ではない。
*2:維持することに何の意味があるのかは問うてはいけない。単なる意地なんだから。誰かに揶揄されようと続けるのである(しつこい)。
*3:なお、買った本の全部についてupしているわけではないことを付言しておく。さらに言えば買ったうちでどれほど読んでいるかというと…(滝汗)。
*4:なお、本エントリは自腹で法律書を買う時のことについてのみ対象とする。勤務先で書籍を購入する場合とは考慮要素が異なるからである。
*5:模範六法はあのビニールの手触りがべたべたして好きじゃないので自分では買わないことにしている。過去の勤務先でアレが支給されるところがあったが、前記の点で違和感が拭い去れなかった。
*6:なお、紙の本がないような場合を除き、電子書籍は原則として買わない。サブスクは業務上必要なのでやむなく導入したが。
*7:サブスクにある書籍の場合は、調べ物だけの目的であれば購入しない。
*8:個人的には、このあたりは、自分の精神状態が反映している。気分が落ち込んでいるときには、「買わない」という判断をしがちであるし、買っても読み進められずに積読になりがちである。
*9:司法試験の必修科目で自分が使っていた基本書や、実務書の定番書(圓道先生の赤い本とかが一例。)などがそれにあたる。
*10:ご迷惑をかける可能性があるので、個人名はあげないでおく。
*11:どうしても、というのであればリアルで訊いてください(汗)。こちらの言動を一定年数以上見ている方には見当がつくかもしれないが...。
*12:twitterとかせずに本を読めと言う話もあるが...(汗)。いずれにしてもTL上にいる超人的に読むスピードの速い方々のように読むことが出来ないのは確かである。
*13:この両者以外の目的で買うことは、僕の場合はあまりない。ただし、ゼロではない。
*14:事務所の弁護士さんでは当然のことだろうが。
*15:サブスクとかで検索機能を使うことで網羅的に網をかけることが出来るようになっているので、そちらで済めばことは足りるのだろうが、現状サブスクで捕捉できる本には限界があるので、現状でも、そこを補う意味はあろう。
*16:いちいちメモを取っているとページが進まないから、というのが一番大きい。
*17:この判断を間違えて、後悔することもないではない。手放した後に入手したくなって探しても絶版となっていて、ブックオフで年単位の時間「張って」再入手したということもある。一例が「条文にない債権回収のはなし」である。したがって慎重な判断が必要であることはいうまでもない。
*18:例外は、資格試験の問題集の類で、司法試験の時に「趣旨規範ハンドブック」というまとめ教材や問題集等に書き込みだの付箋だのはったりした程度か。