次善の策になるか?

 

以下は、#legalAC用に書き始めたものの、結局没にしたネタを再編集したもの。

途中で面倒になって放り投げた(力尽きただけという)感があるので、没になったのだけど、さらに掘り下げる元気もないので、とりあえず一旦公開してみる。

 

今回はこちらのエントリの続きのようなものを書いてみようかと*1

 

日本以外の他の未知の法域における法的問題について、検討をすることが必要になった時には、教科書的な対応としては、当該法域における弁護士資格者に相談なり何なりするべし、というものがある。確かにそのとおり。まさに「正論」だろう。

 

とはいうものの、そういう「正論」に基づく対応が常にできるかというと、予算等、色々な制約要因から、心もとないときがあるわけで、そういう時にどうするか、ということも、企業の中の人にとっては、考えておくと良いことがあるものと思われる*2

 

もちろん積極的に推奨されるべきものではなく、あくまで次善の策、なにもしないよりはまし、というレベルにしかならないと思った方がいいと思う*3。そういう前提で何ができるか。モノの本で調べるというのもアリだとは思うが、ここではとりあえずネット上に無料で存在する情報でどこまで行けるか、ということを中心にちょっと考えてみたいと思った次第。

 

当然のことながら、以下は、内容については無保証で、ご利用は自己責任で、ましてや法的なアドバイスでもない…ということは一応確認させていただきたく。あと、以下でご紹介するものについては、こちらは中を全部見ているわけでもないことも付言しておく*4

 

やや寄り道めいた話を先にしておくと、動産売買契約の場合は、可能な場合は、CISGを準拠法の中に入れることで、予測可能性を上げるという発想はあり得るだろう。個人的には、CISGについては、ある程度予測可能性の高い法域での契約よりも、未知のところでこそ使うべきという気がしている。予測可能性の高いところでは殊更に使う必要はなく、不要だろうから。CISGについては、やや古いものの、次のサイトなどから裁判例などにアクセス可能。

lex.juris.hokudai.ac.jp

準拠法条項のドラフティングについては例えばこちらの論考とかも参考になろうか。

CISG下における準拠法条項ドラフティング

 

さて、契約書のドラフティング以外も含む話となると、どうなるか。それらしい本*5があれば、そこから、という話になるけど、そういうものが一切手元になかったら?と考えてみる。ネット上で無料で見られる情報はないのか?*6

 

まず、思いつくのはJETROの国別・地域別情報か。

あとすぐに思いつくのは、西村あさひのDoing Businessシリーズ。それと、NOTのビジネス法ガイド*7

この辺りが国・地域単位の基本情報のレベルだろうか。まずはこの辺りで概観をしておく方が便利な気がする*8

 

個別具体的なものについても、所謂5大事務所や外資系事務所は、それなりに海外案件の情報についてニュースレターとかにしていて、それが公開されているので、そこに参考になる情報がないか探してみるのも一つの手だろう。これら事務所においても国単位で強い弱いがあるみたいだからそのあたりを見つつ探すのも手なのかもしれない。その他にも個別にblogなどで情報が発信されていることもある。

 

とはいえ、個別に探すのはなかなか面倒くさい。横断的に探せないのか、と思わないでもない(誰か何とかしてくれないかな(謎))。

 

英語ではその種のニュースレターとかを事務所を超えて集めたサイトがあるので、そういうものを見るのも一案となろう。僕が見つけた範囲(ちょっと触った程度だけど)では次のあたりがある*9

mondaq

Lexology

この他にもあればご教示いただけると幸甚ですm(_ _)m

 

いずれにしても、所詮タダ、というと語弊があるかもしれないが、こちらの要求に応じて調べた結果ではなく、特定時点のレポートなのでその後の更新がなされていない等、無料で公開されているものということで、信頼性とかについては、一定の限界があるのもやむを得ないところではないかと思う。

 

…このあたりで力尽きたのだった。英語でガチンコでリサーチするなら個別に色々調べ方はあるはずなんだけど、そのあたりまでは手が出せなかった(汗)。

 

 【追記】

次のようなサイトを以前メモしていたのを思い出した(汗)*10

Foreign and International Law - Free and Low Cost Resources for Legal Research - Research Guides at Elisabeth Haub School of Law, Pace University

こういうところからたどっていく形を取ることも、あり得るだろうと思う。

 

*1:なお、本エントリは、主に、某二次妻・無双御大ちくわ先生の間でのやり取り(この辺り)に触発されている。両先生には感謝申し上げる次第。もちろん本エントリの文責は当方にある。

*2:以前のエントリで書いたけど、そういう当該法域の弁護士に確認できなきゃ事業を止めるのかというと、それも一つの対応だと思うけど、常にそういうことができるとは限らないのではないか。多少の危険は覚悟してでも進む、というのも一つのビジネス判断としてはあり得ないとまではいえないだろうし、そういう時であっても、出来る限りのことはしたいと思うことは多いのではなかろうか。何も調べず「丸腰」で行くよりはマシであることを祈りつつ。

*3:なお、上記のような問題意識に基づくので、本エントリでは、和書もそれなりに出ていて、知見もそれなりに広まっていると思われるアメリカについては、意図的に視野から外している。アメリカ単体であれば、英語のものではあるが、CornellのLIIとかLaw.comとかをとっかかりとする等それは色々出てくるはずなので…。

*4:こういう、ある意味で「中途半端な」感もあるエントリを弁護士資格を有する人間がupすると諸先輩方からお叱りを受けそうな気もするけど、他方で、自分が法務の担当者でリソースがないときには、こういうやり方をしなければならなかったこともないではないので、勇気をもって挙げてみる次第

*5:なお、契約書のドラフティングについては、こちらも未読ながら、AMTの手による本がある。斜め読みする限り国による内容のばらつきが大きそうなので、注意が必要そうだけど。また、国別でも、中国や東南アジア諸国については既に5大事務所とかにより、それなり以上に本があるので、それらをあたることは考えてみてよいのではないかと思う。

*6:有料であればpractical lawとかもあるが…使ったことがないので迂闊なことは言えない。

*7:登録はいるが無料で見ることはできるようだ

*8:なお、当然のことながら、英語であれば世銀のdoing businessのところが参考になる。

*9:機械翻訳を噛ませることで、現地語のレポートを見に行くことも考えても良いかもしれないが、機械翻訳の精度にも限界があることを考えると、難しいところがあるのも事実だろう(むしろ現地語から英訳してそれを読む方がまともかもしれない)

*10:メモするだけでは身につかないことが図らずも例証されたことになるか…