dancer in the dark

特にタイトルに意味はない。某映画を観たことはない。思いついたフレーズをタイトルにしただけである*1

例によって?#萌渋スペース向けのネタをメモしてみる*2

 

今回は、#萌渋スペース第10回ということで(謎)、趣向を変えて、擬古文先輩にネタをご用意していただき、こちらがそれに反応をするという、攻守?入れ替わる形になる。擬古文先輩が用意されたものが(おそらくエントリになるはず)、これまた内容が濃くて、どうしたものかと途方に暮れるばかり*3*4。以下は当該エントリ又はスペースでの擬古文先輩のご発言内容をご存じの方向けの物言いとなることを付言しておく。また、こちらの従前のエントリの内容も踏まえているので、その点も併せてご留意いただきたい。

dtk1970.hatenablog.com

 

所謂グレーゾーンにどう対処するかということから、経文先輩は、役所側の動きを読んで、如何に自社のリスクを軽減した形で運用の余地を確保するかということを論じられているものと理解した。いつもながらの緻密な論の運びやまとめ方も含めて、非常に学ぶところが大きいのは間違いがない。

真面目に考えれば擬古文先輩のご指摘のようになるのだろうが、こちらのような不真面目かつ不謹慎な人間からすれば、疑義というか違和感がないわけではない。そこで、天邪鬼的なことも含めて、いくつかのことを述べてみたい。スペースを盛り上げるため、というところもあり、若干ヒール的な立ち回りをしようかと思ってみる*5。なので、以下述べることは、こちら及びこちらの勤務先(現在過去未来いずれについても)との見解などとは必ずしも一致するとは限らないことをあらかじめ申し上げる。またいつものように自分のことは高い棚のうえに挙げているし、考えるところは、経験に基づく物言いに過ぎず、異論などがあり得ることはいうまでもない。

 

そもそも、擬古文先輩ご指摘のようなアプローチを取る、特に所管官庁の動きを読めるようになるためには、相応のリソースが利用可能な状態にあるのが前提であろう。そうしたリソースが利用可能でないところでは、手の施しようがあるのか、というところが、まず気になる。

これに対して、最近は任期付き公務員とかを経験されている弁護士の人数も増えてきたので、社内の知見で対応できないと考えて、その種の先生方のところに相談に行くのは、ある意味で分かりやすい対応だろう。しかし、語弊のある言い方をすれば、数年の経験だけの方々でしかない。仮にこういう先生方のところに相談に行ったところで、関与された単発の立法を超えた話、特に、こうした組織において長年の時の経過を経て育まれた生理等が関係するような話に、こうした先生方がどこまで対応できるのか、個人的には疑義なしとは言えない気がする*6。そういう方々とは別に、当該官庁に長らく務められたのちに弁護士事務所に入られる方もおられるが*7、そういう方々は、当然のことながら数が少なく、そういう方々へのアクセスも容易とは言い難いように思われる*8*9

別の手としては、業界団体を通じて、というのもあり得るが、業界団体があって、そうした情報を当該団体が入手しているのが前提であり、新しい業界などでそもそも業界団体が存在しないときには、そうした手は取りがたい。また、仮に、こうした業界団体があったとしても、そういう団体にどの部署の人間を出すかという論点もある。同業者との間接的な接触となると、競争法上の疑義も避ける必要もあることからである。結局、継続的にそういう団体に参加する人を出すとなると、それなりの規模の会社で、人的に余裕もないとそれも覚束ないように思われる。

最近流行りのグレーゾーン解消制度を使うにしても、質問に対して、一定の前提を置いたうえでの回答であり、質問の仕方が適切でなかったり、そこでの前提の置き方が適切でないと、事業者側から見て違和感のある回答が出てくるであろうことは、先般の某件でのあれこれを想起すれば、想像に難くない*10。そういう意味では、使い方の容易な制度とは言い切れないとみる方が妥当なのではないか。

さらに、そうした点を別にしても、グレーゾーン解消制度に基づいた問い合わせから出てくるのは、当該問い合わせに対する特定の行政庁の回答でしかない。もちろん当該官庁がその回答内容に沿って動くであろうとは思うし、その限りでの有用性は否定しがたいが、当該行政庁の関係しないところ、典型的には訴訟の場において、当該解釈がどこまで通用するのか、直ちには明らかではないように思われる。当該回答を尊重する裁判例が積み重ならない限り、どこまで「乗る」ことができる話なのか、という点については、なお慎重な判断が必要があるのではないかと考える。

 

・・・というようなことを考えると、結局、冒頭に挙げた当方のエントリでメモしたように、外国法準拠の契約を、現時点での自前の知見+αで判断するのと、やっていることは、実のところは、大して変わらない場合が多いのではなかろうか、という風に感じてしまう。ブログのタイトルに引き付けて例えると、光があるものとして踊っている割には、実はそれほど明るいところで踊っているわけではない、ということにでもなるのだろうか。

仮にそうであるならば、不明確な状態をそのままにして、どう振る舞うか。明るくないことを踏まえたうえで、その場を明るくするのではなく、暗がりのままで、どう「踊る」か、というようなことを考えるという発想があっても良いのではないか、と感じる。

さらに、どのみち、100%クリアにできないとわかっているなら、あいまいな状況を上手く使うような「芸」の余地はないのか、と思わないではない。変に役所の確認を取ろうとして、意図に反した駄目だしされて、駄目であることを知らないとも言えなくなるという、ある種の藪蛇になる危険を冒すくらいなら、多少間抜けと嗤われるかもしれなくとも、そういう内容の規制とは知らなかった、そういう状況下ではアウトになるとは知らなかったと強弁する余地を残した方がまだマシなのではないかと感じる*11*12。白黒つけられるとは限らないし、白黒つけようとする行為が悪く作用する危険も除去しきれないのであれば、何でもかんでも白黒はっきりさせようとすることに拘る必要は必ずしもないのではないかと思うわけである。

所管官庁に問い合わせるような行為はしないとしても、それ以外の手段で調べられるものは調べたうえで、それでも迷うところには、いざ適法性に外部から疑義が生じたら速やかに謝罪し、撤退等するという前提で*13、「挑んで」みるという姿勢も考えられるのではなかろうか。取締法規の内容次第というところはあるとは思うが、意図的にかつ長期的・組織的に違反しているのでなければ、最終的に違反という判断が確定しても、レピュテーションリスクも含めても、実害はそれほど大きくならない、という見立ての余地もゼロではないような気がするのだがどうだろうか。

別の言い方をすれば、グレーなこと、曖昧なことを明らかにしようと突っ走ることは、そうした行為の先に、曖昧な現状よりも、より良い状態がある、それが現出可能であることを無邪気に想定しているからなのではないかと考える。そうした状態があるかどうか不明瞭なのに、不用意に前のめりに突っ込んで行って、事態を「悪化」させてしまったのであれば、言葉は悪いが、ある種の「背信」行為とも受け取られかねないのではないか。そのあたりの見込みがつかないのであれば、曖昧な現状で留まって、そこでどう対応するのかを考えても良いのではないか。こういう考え方はキラキラ・ポジティブ一直線な中では受けが悪いのだけど、そんな気がしている。もちろん、その状態をずっと継続していてもどこにも行かないのは確かだが、それでも、そのことは、良い方向に動く見通しが立たないところで闇雲に動くことを正当化するものではないだろう。

 

結局、結論めいたものは特にないのだが、明確にできること、そう言い切れないこと、を見極めたうえで、出来る範囲で、取ろうとする行為に内在するリスクを覚悟のうえで*14、対応していくしかない、そのためには、個々人が研鑽を積み、リスクに関する感度をあげていくしかないということになろうか*15。こう書いてしまうと実質無内容になってしまう気がするが...。

 

追記)経文緯武先輩のエントリはこちら。

tokyo.way-nifty.com

追記2)くまった先生が、過去のスペースに際して書かれたエントリの一覧を纏めておられるので、合わせてメモしておく*16

note.com

*1:達郎さんのこちらの曲も脳裏をよぎったが。

*2:ファンアートまで作っていただいてしまった。訳が分からないが、実に有難い限りである。

*3:経文緯武先輩におかれては、こちらが呻吟していることにつき、お気遣いいただくエントリまで上げていただき、ますます恐縮するばかりである。

*4:こちらのこれまでの無体なエントリに相当お悩みいただいたのではないかと、言う気もするが...(汗)。

*5:大体こういうのはうまくいった試しがないのだが...(汗)。

*6:官庁における、その種の先生方の位置づけについて、十分知悉しているわけではないので、この点について、確定的なことを言えるだけのものをこちらは持ち合わせていない。なお、正面切ってその点を当の先生に問い質すことにはおそらく意味がないだろう。

*7:某省の事務次官経験者とが弁護士登録をされているのを見つけたことがある...。ここで述べている件については、そこまでの高位経験者でなければならないということではないだろうが...。

*8:もちろん、そうした「生理」を体感しているのと、それを言語化できるかどうか、そうした「生理」を体感していない依頼者に説明しきれるかは別の話かもしれないのだが...。

*9:さらに言えば、元官僚の方の感覚の類については、賞味期限、というのもあるだろう。役所の側だって日々変化(進歩と言えるかどうかはさておき)する訳で。

*10:某片仮名技術についての件を想起すれば、使い方次第では「怪我人」を出しかねない、この種の制度の「危うさ」を理解するのはそれほど難しい話ではないと思うのだが。それにしても、その手の分野に前のめりな先生方の、法律論以前の感情的とも思えてしまうような対応には、違和感を禁じ得なかった。

*11:なお、念のために付言しておくと、商業的に合理的な範囲で調べられるところは調べてもなお不明な場合を想定しているのであり、そういう状況はそもそも多くないだろう。そのうえ、この種の発想を弄するのはある種の緊急避難的な措置であり、この種の措置の発動には謙抑的であるべきだろう。そこまで行かないようにすることが企業内法務としては「本道」であろうことはいうまでもない。

*12:それと役所とのやり取りの中では、役所がこちらの質問したいこと以外に興味を持つ可能性もあり、そうした意味で「藪蛇」になる危険性があることも留意が必要かもしれない。

*13:いったん始めるとここのところが実は難しくなるので、実際には難しいということは理解している。従って、この種の発想で動けるのは極めて稀であることには間違いないだろう。そんなこんなを考えると、少なくともこちらの現職では、この種の動きを取ることはないだろうし、仮にそういう動きがあったら、全力で止める方向に走るだろう。

*14:安易な覚悟というか割り切りは禁物なのはいうまでもない。この点は先般経文緯武先輩からご叱責を受けたところである。

*15:議論が「空中戦」になっている気もするが、抽象度の上げ下げや、こういう「空中戦」が出来ることも、法務としては重要な気がする。これしかできないのは駄目だし、寧ろこうしたことにならないようにすべきではあるが、いざとなった時に出来ないのは駄目だろう。このエントリがそれに該当するかどうかはさておき...。

*16:くどいようだが、不特定多数の前では歌わないので、その点はご留意いただきたく。