対応の仕方について

例によって脊髄反射的な呟きを基にメモしてみる。こちらの経験に基づくもので、異論があり得ることは言うまでもない。

 

インハウス猫先生のエントリに接した。外資系金融でのご経験を踏まえてのエントリとお見受けする。こちらの少ない経験からしても、なるほど外資系らしい発想だなと感じた。いくつか感じたことをメモしてみる。

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僕自身は、これまでのところ、企業内法務において、自分の所属以外から責任転嫁をされて不利益を被った記憶はない*1。他方で、責任転嫁に見える事象には接したことがないわけではない。

 

所謂JTCの場合*2、上司に報告メールを送っておくことで*3、上司に「知らなかった」と言われないようにする、というのは、確かに一つの考えられる手段ではあろう。

しかしながら、その種の対応は、自分がある程度下の立場で、上司が法務系で、メールを読まない等の対応をしないことが合理的に予見可能な時には使えるだろうけど*4、そういう状態にあることの方が少ないのではないかと感じる。上司が法務系ではないときには、メールを送っても全く読まない、または、優先順位を下げられるというような対応を経験したことがある*5

 

敢えて弁護すれば、そういう上司はなんだかんだで多忙*6なこともあり、特に法務系のバックグラウンドがないと、そもそも長い文章を読むのが得意でなかったりする。上司に報告するとなると、ある程度込み入った話になることが多く、誤解をさせないように言葉で説明をしようとすると一定程度文章が長くなることが避けがたいが*7、それだけで読む気が失せるということもあるわけで、法務という職種との相性が良くないということになる。文句を言うにも限度がある。


そうなると、口頭で報告して*8、その様子を録音するくらいしか手段がないかもしれないが、やってるのがばれると顰蹙は買う危険はあるだろう。信用していないと露骨に示すことになるから。


また、不利益な事態になる危険がある時に、上司を巻き込むという対応も、巻き込もうとした上司が逃げる危険が一定程度あることも言うまでもない。特に非法務系の上司だと、専門的な話についていけなくなるとその種の逃げは生じやすいと感じる。

 

結局のところは、最後は、「運」としか言いようがない気がしていて、自分がその種の危険を甘受できるか、というある意味で生き方の問題でしかないのかなと感じている*9

 

*1:都合の悪い話を積極的に忘れている可能性は残るが(汗)。

*2:なお、以下の内容は、こちらの現職での話とは限らない。

*3:当該上司がアクセス可能な特定のフォルダに情報をいれておいて、そこに入れたことを知らせるというのも、上司の手元で情報がオーバーフローしてしまうと、破綻するという点では、効果においては大きな差はない気がしており、結局大差ない議論になると考える。

*4:その背後にアクセス可能な状態にあった情報にアクセスしないのはアクセスしない方の問題という文化があればなおさら有効な議論になるだろう。

*5:添付ファイルは見ない、という経営層に接したときは、最低限の内容は本文に書いて、それだけで判断可能と見えるようにするというアプローチを取ったこともある

*6:多忙であることに自己満足しているように見えてしまう場合もないではないが、それはさておき。

*7:正確さを犠牲にして短くするというのはあり得るのだが、そうすると、誤解が生じてる可能性もあるので、その危険とのバランスをどう取るかは、正直相手の理解度等によるので、匙加減が難しいと感じる。

*8:その際にメールで資料を送るという手はあるかもしれないが、それでも目を通してくれるとは限らないのは言うまでもないし、そもそも、多忙な相手の場合、口頭で報告する時間をどのように確保するかそれ自体も問題となる。

*9:こちらが、その種の危険が少ないと思われる外資を避けてJTCを今回選んだのもそういうものの一つの表れなのかもしれない。色々あっても経験した米系で、給与の差では賄いきれない不快な目にあったからJTCを選んだというところ。