若干のメモ(2021/12/16)

脊髄反射的に直感で思い浮かんだことをメモしておく。

 

時事ネタに反応するのは、正直あまり好みではないのだが、違和感が強かったので若干のメモをしておきたい。

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国賠訴訟ということは、要するに金銭損害賠償請求ということになるわけで、そうなると、被告が原告の請求を認諾すれば、訴訟は終わる。ある意味で当然のことという見方もあり得る。本来の目的はどうであれ、損害賠償請求という形を取った以上、請求が丸々認められる形になれば終わるのは当然のことというのは、一面で事実だろう*1

 

しかしながら、この訴訟については、もともとそうした目的で提起されたものではないのは明らかなわけで、それで結果的に妥当なのかというと、疑問なしとは言えないだろう。裁判で真実が明らかになるとは限らないにしても、訴訟手続の中で明らかになる事実があるのも間違いないわけで、その他に事実を究明するための有効な手段がないところでは、この手段を実質的に無効化させる対応策を国側が取ることについて、批判はされて然るべきではないか。特に、一旦請求原因を争っていながら証人尋問を前にして態度を転じた点は誠実とは言えないし、金額について精査しないまま請求を丸呑みした点は、納税者としては文句を言うべきではないかとも感じる。

 

ただ、そもそもの問題は、政府の不正について、独立性に疑義の生じず、かつ、十分な調査が可能な調査機関がないことに起因しているので、そういう機関が設けられるべきではないのかという気がする*2。もっとも、少なくとも現与党政権下ではそのような措置が講じられる可能性は高いとは考えにくい。そうであれば、国賠で「カネで口を封じる」ような事態が生じないよう、株主代表訴訟と同様に印紙代を訴額に関係なく一律にしてはどうかという気がする。この手の訴訟は、株主代表訴訟がそうであるように、原告個人の利益のためというよりも、それ以外の広い利害関係人の利益にもなるのだから、株主代表訴訟で認められた措置と同様の措置を正当化する余地があるのではないかと感じるのだが。もちろん、これとても現与党政権下では難しいとは思うが...。

 

*1:この点について、原告代理人は原告に十分に説明したのだろうかというのは気になるところ。

*2:外交機密のようなものについては調査対象としてよいのかという疑義があるが、それであれば、50年間などと期間を限って秘密とし、当該期間経過後は何があっても公開、というのが望ましいと考える。