月刊法学教室 2025年 01 月号

例によって呟いたことを基に、目を通した範囲で、箇条書きで感想をメモ。

  • 巻頭言では、某ドラマについては見ていないので何とも言えない。尊属殺違憲事件で刑の加重自体が不合理な差別という意見が出ていたのは認識していなかった。
  • 法学のアントレは、チアリーディングそれ自体の大変さを知らなかったので、興味深く読む。
  • 特集はもういちど考えてみる法学学習。
    ぱうぜセンセのイントロの短い文章の後はぱうぜセンセたちの座談会。コロナの時期に学生であったことはないのだけど、その前後での諸々の変化が法学学習にもたらしたものについてのコメントが興味深い。僕が学部生だったころはレジュメを配る法学の先生はまれだったような。内田貴先生が民法第1部で講義案(うちみんの前身)を出したくらいか(反面で全部録音して一人でテープ起こしする人間がいたりしたのだが)。シケプリに頼って単位は取ったけど、ノートの取り方とかも皆自己流だった記憶。試験も含めて使えるツールが変われば教えることや教え方も変わるのはある意味で当然で、先生の方々も大変そうだなと思ったりする。
    特集の後半は、シン・推し本。twitterで意見募集というあたりが面白い。
    法学入門のところでは森田先生の本、いろいろな進路と社会とのつながり方を考えるでは、松尾先生の本と法学教室の特集にはそれぞれ目を通した。初めて書名を見る本もある。
    レポート、論文、法律文書を書くために、では法律文章読本は目を通した。紹介されている通りの良著だと思う。田中先生の本は読まないとと思いつつも...(以下略)。
    思考力や調査能力を上げるために、では99問も取り上げていただき、共著者の一人として感謝です。「調べる技術」「もっと調べる技術」も面白いと思う。
    判例の読みこなし方、のところは、いずれも僕が受験生時代にはなかったものなのでわからないが、START UPシリーズが気になる(精読の方は気軽に近寄れる気がしない)。
    演習書のすすめでは、新人弁護士カエデ、行政法に挑むが紹介されているけど、このカテゴリーでいいのかよくわからない。まあ、面白いから読んでおいてよいと思うけど。
    危機から立ち直るために、のところは目を通した本はない(ぱうぜセンセの本はあるけど読めてない)。「被災した...」は確かに防災グッズの中にいれておくべきかも。
    法学科目間、他の学問分野とつないで社会問題に挑む、は刑法的思考のすすめしかしらないけど、こういうところも紹介があるのはよいと思う。
    外国の法・制度を学ぼうは、アメリカ連邦最高裁判所しか目を通したものはないけど、個人的には、アメリカ法については、故阿川先生の一連の著作のほうが日本人にはとっつきやすいのではないかと感じる。
    法律や法的問題がかかわるフィクション作品は、そもそもフィクションを読まないので、どれも読んだことがないが、最近のものに限る必要はなかったのではないか(入手が容易なものという意図だろうけど)。
    趣味の背後にも法があるは、いずれも読んだことはないが、音楽関係のものも取り上げてもらいたかったような気がした。
    弁護士の世界は、太田先生のものしか目を通していないが、最近の本だとこういう感じなのかもしれない。
    先人の経験に学ぶは、中田先生の本しか読んでないが、最高裁判事の回想録などが気になった。
    特集は、変化の激しい中でどう対応していくかの模索のスナップショットという感じで興味深く拝読した。
  • 時の問題は令和6年地方自治法改正。法改正に至る経緯が興味深い。国の権限が強くなりすぎるという懸念への著者のコメントはそのとおりかもしれないが、国の権限行使が適切に行われない可能性への対応はどうしたものかと思う。あと、脚注30はその通りと思う。
  • 講座。
    憲法統治機構の導入。各論の総論的な感じで、統治機構の骨格を説明しているような印象を受けた。
    行政法国家賠償法1条の賠償責任—福島原発事故国賠訴訟。本題とは別に進行している学内のトラブルの話が気になった(汗)。
    民法の権利の危殆化による不法行為責任(下)はスケール大き目な議論で驚く。シリアスな問題のときにはよく機能しそうに見えるけど、マイナーな問題のときにはどこまで機能するかが気になった。
    会社法の時計の株式・新株予約権の不公正発行(下)は、バブル崩壊からブルドックソース事件あたりまでの振り返りが興味深かった。近時の状況も詳しく解説してほしかったが、それはおそらく連載の趣旨と整合しないかもしれない。
    刑法の参考人の虚偽供述と証拠偽造罪は、従前の議論を踏まえた考えられる解釈論が興味深く感じた。
    刑訴の被告人の証人審問権は、歴史的経緯と最近の判例・学説の動向や立法の動きなどがわかりやすくまとめられていてよい。
  • 演習。
    憲法医療観察法と31条という組み合わせは何となく試験に出しやすそうな気がしたけどどうなんだろう。
    行政法は国賠法2条。河川の設置又は管理の瑕疵の議論は、河川の改修、整備状況次第で求める安全性に差異が生じると思われるのが、肚落ちしない感じがする。仕方ないとは思いつつも。
    民法は抵当権に基づく物上代位と相殺。段階を踏んで説明していてわかりやすい(この辺りはすっかり忘れていた)。
    商法は429条1項の取締役の責任等。同項の取締役の責任の法意って、出てくるけど、法意と趣旨とどう違うのか、と悩むがよくわからない。
    民訴は裁判上の自白と証明責任のあたり。ステップアップの248条の適用の話は、考えたことのない話で、どうなるんだろうと思った。義務性がありそうな気がするけど。
    刑法は詐欺罪。設問で設定されている事実関係が今時だなあと思う。欺罔行為を否定する結論は理解できるとしても、その理由付けの解説での説明には個人的には疑問が残った。
    刑訴は偽計による自白。捜査官に偽計の認識がない場合は、考えたことがなかった。結論として証拠能力を否定すべきだろうとは思ったけど。
    演習のレポートは社会保障法。政策論的な内容で、この分野に触れたことがないこともあり、こういう感じなのか、と思いながら読む。
  • 判例セレクト。
    警察による個人情報の収集・保有・提供とプライバシーは、プライバシー保護について踏み込んだ判断をしていて驚いた。
    行政法除斥期間の主張と信義則では、解説での、信義則が法制度を「修正する」という表現が印象的(佐久間「民法の基礎1」5版にある表現のようだが、古い版は読んだはずなのに記憶にない(汗))。
    商法の株式併合による株主資格喪失と株主代表訴訟原告適格の帰趨は、併合で株主代表訴訟原告適格が消滅するというのは、少数株主権として代表訴訟を認めたことと整合しないのではないかという気がして、存続説の方が良いのではないかと感じた。
    民訴の債権者代位訴訟における債務者の訴訟参加は、解説最後での指摘に納得。
    刑法の承諾に基づく親族のETCカードの使用と電子計算機使用詐欺罪は、解説での判旨批判に賛成。
    刑訴の刑事訴訟法316条の26第1項の証拠開示命令の対象は、そういうものか、と思って読む。