こちらの印象に基づくものだが一応メモしておく。
【up後に若干追記した。】
長期政権が一旦終わったらしい。内実はさておき、少なくとも名目上は首班が交代*1するのだから、そう表現しても良いのだろう*2。
個々の政策に対しては評価は様々に可能であろう。それは、とりあえず現時点で総括するべきかどうかも疑義があるような気がしないでもない。現下の感染症対策については、未知の部分が多いことから、多少の右往左往はやむを得ないという議論もあり得るとは思う。
とはいえ、この長期政権については、これまでの政権が意識的または無意識的に基礎としていたものを掘り崩した、という感が強く、その意味においては、個別の政策の評価以前の問題として、個別政策の結果いかんに関係なく、個人的には積極的な評価をすることはほぼないと感じている。いくつかの点について*3、以下メモをしてみる。
そのうちの一つは、公文書・記録に関するもの。改竄疑惑だけではなく、そもそも行政の諸活動において記録を取らなくなったというところも含めてのこと。公文書(電磁的なものも一応含めて)で記録をし、後日の検証などの用途に耐え得るようにすることというのは、近代の官僚による行政国家の基本中の基本*4ではないかと思うのだが、そこを崩壊させた感があるのが、かの政権を消極的に評価する点の一つ。この点に関しては、おそらく同じものに根差していると思うものに、説明責任の空洞化ということも挙げられるだろう。口先だけで内実が皆無の「説明」とか。
もう一つは意思決定等の手続き・ルールに関するもの。慣例的なものを含めて、これまでの、行政・政治に関する意思決定過程において、あるべき「やり方」からの逸脱が目立ったような印象。単なる閣議決定で解釈改憲のような決定をしたというのが典型例だろう*5。
さらにもう一つは、 内閣人事局創設による官僚機構の人事への介入強化。首相が行政の長だからといって、行政の実体を担うというべき官僚機構に対して、何でも口出しをしていいというものでもない。政権からの独立性を必要とする官庁だってある。典型は検察庁だろう。一定の緊張関係の下で行政が運営されなければならないところ、その関係が崩壊したという印象が拭い去れない*6。
これらの点を後継政権がどう考えるか、何らかの形で是正が図られるか、というと、悲観的に見ているのだが…。