映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」

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初日に見た。こちらは、小川議員と接点があるがゆえに贔屓目に見ていることは否めないが、おそらく、それを抜きにしても、彼に対する評価がどうであれ、今の政治を考えるうえでは必見という気がした。

 

断続的とはいえ、17年もの長きにわたり、 取材が行われたドキュメンタリーというのもなかなかすごいところ。政治家への取材にありがちな、政治家にとって都合のいいところだけを撮っているということは感じられなかった。取材期間の長さゆえに、最初は議員のお子さんも小さかったのが、しっかりとした学生さんになられて、選挙活動に協力されているのまでも見ることができる。

 

個人的には、何よりもまず、小川議員が、当初から変わらぬ姿でひたむきに頑張っている姿(背後には強烈な使命感があるのだろう。)、そして、それでも選挙には十分勝ちきれぬ現実、そして、そういう小川議員を支えるご家族の方々(ご両親、奥様、お譲さんお二人)と周囲の方々の姿に何とも言えない感銘を受けた。議員のひたむきさ、迷いつつも、あるべき姿を追求してぶれないところが、ご家族(ごく普通の日常を送られている姿も垣間見えた)としても支えやすいのではないかとも感じた。

 

他方で、あるべき姿を追求してそこからぶれない姿勢は、移ろいやすい有権者に口当たりのいいことを言い続ける政治屋との比較では、選挙では不利なことは否めず、政治の世界において、選挙に勝ってこそ、というところがあるとすると、彼は政治家には向いていない、という見方にも説得力を感じるところ。彼の言葉の力を発揮するのは寧ろ大学とかではないのかというお父様の指摘は納得できた。

 

その反面、彼の苦闘は、有権者側の意識の問題の裏返しである気もしていて、都民として、都知事選を目の前にすると、余計に、色々思うところがあった。選挙のたびに、この映画を思い出して、考えることが必要なんだろう。

 

彼が国政に打って出るときに、50で引退と言っていたというのも出てきたが、遺憾ながら、50で引退するには早すぎるかもしれないので、気のすむまで、彼のやり方で頑張ってもらいたいと思ったのだった(もちろん然るべき仁義を、切ったうえで、だろうけど)。

 

個人的には、小川議員自身が、法学部のゼミ(3年時の夏学期の演習)の同期で、昨年のそのゼミの飲み会で、学部を出て以来久方ぶりにお目にかかったこともあって、こういう形で彼のこれまでをたどることができたことは、感慨深いものがあったし、有権者として考えるべきことが多かった。