「第三者委員会」の欺瞞-報告書が示す不祥事の呆れた後始末 / 八田 進二 (著)

目を通したので感想をメモ。

会計学者の著者*1が、当節流行りの「第三者委員会」の問題点を指摘するもの。第三者委員会が、会社側の責任追及回避、禊の手段になっているという指摘は、実際に挙げられている「ダメ」な報告書の例を見ると、否定しがたいところだろう。

 

これらに対する著者の提言は、会計畑の人らしい提言で、なるほどと思うところ*2

 

個人的に意外だったのは、この第三者委員会というものが、純国産であり、外国の実務を持ち込んだものではないという指摘。まあ、冷静に考えれば、本書でも指摘されているように、独立性とかを保つ手段が不明瞭で不安定な仕組みともいえ、そういうものが他の国で発生または定着することは想像しづらい気もするし、寧ろ日本的な制度とみるべきなのだろう。

 

いずれにしても、第三者委員会制度は、少なくとも当分の間は続くだろうから、こうした提言を踏まえて、少しでも内容が改善されればと思う。

*1:文中で、著者が自身を「会計のプロ」としていたけど、会計学のプロであって、会計実務のプロではないようにも見受けられるので、その表現が適切なのか、疑問が残った。

*2:何とはなしに、弁護士に対する何かがあるのではないかと感じたのも確か。当否は知らないし、こちらの下衆の勘繰りかもしれないが。