最近の疑問

疑問に思ったことについて、考えをメモしてみる。こちらの誤解等ありましたら、適宜の手段でご教示をいただければ幸甚です。

 

このご時勢ということもあり、訴訟の期日に出頭したくないから、電話会議(またはTeamsによる会議)で対応できないかということを考えたくなる。現状法廷に物理的に行かないで済ませる手続*1を考えようとすると、口頭弁論期日では無理だろう。民訴法87条1項で「当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない」とあるわけなので。

 

他方で弁論準備手続または書面による準備手続については、片方が裁判所に出頭すればもう片方は出頭せず電話の向こう(Teams越しの向こう)にいたままで手続ができる(民訴法170条、176条)。

 

弁論準備手続で何ができるかというと、準備書面の提出(民訴法170条1項、175条)は可能で、事実の主張や証拠の提出はできる。文書の証拠調べは可能。それである程度のところまでは行ける。

 

となると、最初から、全部弁論準備で行けないのかという気もする。行けるならば、この騒ぎが収まるまでの間に準備手続でできることをすればよいのではないかという気がするからである。

 

ここで2つ気になることがある。

 

一つ目は、弁論準備に付すには、当事者の意見を聴く必要がある(民訴法168条)のだが、そのためには口頭弁論期日が必要なのではということ。これは、民訴規則60条1項の規定*2から、口頭弁論期日を開かずとも事実上当事者の意見を聴いて、裁判所が弁論準備に付せば足りると思われる。

…この点はTLでも示唆されていたところでもあり、理解はしやすい。

 

しかしながら、気になったのは次の点。仮に最初から弁論準備手続としたとして、訴状はいつ陳述するのか。訴状を裁判所に提出するだけではなく、陳述することで、審理の対象となるはずなので、陳述していないと、弁論準備で争点等の整理をする対象がないことになるのではなかろうか。そして、民訴法170条1項からすると、準備手続では準備書面は提出できるが、答弁書準備書面に含まれるといわれているが、訴状は含まれていないように思われるので(この点調べ切れていないが)、弁論準備で陳述できるのか、が気になる。

 

これに対して一つ目の仮説は、そこはうるさく言わず、事実上審理の対象として争点整理を事実上準備手続の場でしておいて、整理が終わって、手続きに弁論の場に戻したところで訴状から何から陳述したという扱いにする、という方法があるのかもしれない。

二つ目の仮説は、どのみち片方当事者は最低限期日の場にいるのだから、同じ日に先に口頭弁論をやってしまって、擬制陳述としたうえで、その後即座に弁論準備手続を行うという方法が考えられる。弁論は法廷で、弁論準備は法廷以外の会議室のようなところで、という区別があったりもするが、ラウンド法廷であれば、弁論も弁論準備もできるようなので、そういうところで弁論と弁論準備をやってしまえば足りるということも考えられるような気がする。

 

くだらないこととは思うが、気になったのでメモしておく。

*1:民事の陳述擬制はいったん脇に置く。

*2:第六十条 訴えが提起されたときは、裁判長は、速やかに、口頭弁論の期日を指定しなければならない。ただし、事件を弁論準備手続に付する場合(付することについて当事者に異議がないときに限る。)又は書面による準備手続に付する場合は、この限りでない。