東弁協叢書 Q&A商標法律相談の基本-商品名検討からプロモーションまで/ 中村合同特許法律事務所 (著)

出た直後に購入していたのだが、長らく積読の山に埋もれたままだった。漸く一通り目を通したので感想をメモ。

 

この本が如何なる本かということについては、表題にあるとおり、という気がする。ややかみ砕くと、商標に関する法律相談で問われるであろう基本的な事柄について、商品名検討段階からプロモーション段階まで、商品開発の段階ごとに解説した本、というところであろうか。知財で有名な事務所の弁護士さん、弁理士さんたちが書いている実務書。

 

如何にもありそうと思われるQに対して、Aを示したうえで解説するというスタイルで、文章も読みやすい。権利化の過程についての解説もあって、知財が公法と私法の双方にまたがる分野だということも良く理解できる。それと、商標法律相談の基本、であって、商標法法律相談の基本、ではないことからもわかるように、商標法に限らず不正競争防止法に基づく議論も俎上に上がっていることは、この両者を併用して対策を考えることがそれなりにあるので、当を得ていると感じた。

 

商標法・不競法周りの案件に少しは関わったことがある立場から読むと、この分野の概観を示す本としては、すごく良い本という気がした。分量もコンパクトなので、この分野について、初めて関わる場合には、まず最初に手にすべき本と感じた*1

 

敢えて言うと、上記の性質からすれば、この本で、この分野においてまず肝になる部分を抑えて、その先へ、というところになると思うのだが、その先を示す本の案内などがないこと。個人的には、この手の立ち位置の本にはそういうものが載っていてほしいと思うので、そこがあるとさらに良かったのではないかと気がした。

*1:その割にここまで積読だったのはこちらの不徳の致すところなのだが…(汗)。