プレップ知的財産法 / 小泉 直樹 (著)

プレップシリーズなんて、「あれでプレップ?」という労働法以外、ちゃんと読んだ記憶が残っていないのだが、TL上で情報を見て、120頁ちょっとという薄さ、というところに興味を覚えて購入。薄いこともあって、すぐ目を通せた。

 

知的財産法の入門書、といっても、司法試験の選択科目の「知的財産法」の入門書ということのようで*1、扱うのは、司法試験の出題範囲に即して、特許法著作権法のみ。

 

また、薄いという点に加えて、典型的な争い方のパターンに重点を置いて説明し、その際に事例を使って説明する*2というところも特徴的で、文章の平易さも相まって、より分かりやすくなっていると感じた。細かい点に踏み込まず、争い方、もっと身も蓋もない言い方をすれば、司法試験の問題への向き合い方、の基本を習得させつつ、全体像を見せる、というところに徹している印象で、これはこれでよいのではないかと感じた。

 

個人的には、知財は、今まで企業での法務担当者として働いてきた際には、知財、特に特許・実用新案・意匠・商標のあたりは管轄外ということが多く、それゆえに苦手意識が強いのだが、弁護士となって、苦手と言っているばかりではまずいと思うので(幸いなことに今のところ特許・実用新案系の話には接していない)、適当な本からもう一度学習しないとと思っていたところでもあり、上記のような特徴を有する本書は、今の自分にとっては、有用だった。

*1:この点明言がないが、「はじめに」の記載からすれば、そう理解可能だろう。とはいえ題名だけ見ると誤解する人がいると思うから、書いた方が良いと思う

*2:司法試験の問題文を素材としているのも、司法試験の選択科目の入門書という立ち位置故のことだろう