企業法務はじめの一歩?

何のことやら。例によって呟いたことを基にしつつ、他の先生方の呟かれているのも拝見しながら考えたことをメモ。

 

某先生が、企業法務に関わる最初のころに、初めて接するであろう個別法について概観する方法について呟かれているのに接した。

 

なるほどと思う反面で、実はこれは「個別法」として何を内容とするか、が難しいのではないかと思う。企業法務と一口に言っても、使う法律は業種ごとに相当異なるはずだから。許認可業種では許認可に関する法律(業法とかが典型だろう)が大きな割合を占めるだろうし(金融がその典型だろう)、メーカーとIT(特に意味はないが)とでも、接する法律は、相当異なるだろうし、同じメーカーでもB2BとB2Cとでは、消費者保護法制の重さが異なるだろうと思う*1

 

とはいえ、業種を超えて知っておくべきものとしての、最大公約数的なものを考えるとどういうものがあるだろうか、と思って考えてみた。司法試験の必修及び選択科目(労働法・環境法あたりはカバーしている法律の範囲が広そうだが...)は除く、と何が残るか。順不同で思いついたものをあげてみる*2

 

  • 金商法。業規制の部分以外のところ、開示周りやインサイダー規制は、広範に必要となるのではなかろうか。特に上場企業であればこの辺りは必須になるだろう。
  • 個人情報保護法。情報自体をビジネスにつなげていなくても従業員の個人情報は扱っているだろうから、そこまで視野に入れるとおそらく共通と言っても過言ではないだろうと思う。
  • 不正競争防止法。他社との情報のやり取りに関する部分は共通性は高いだろうし、海外でのビジネスを考えると海外公務員贈賄禁止の部分も共通性は高いのではないか。
  • 外為法。投資周りについての規制、または、技術に関する規制、どちらとも接点のない企業は少ないのではないか。
  • 特商法、特定電子メール法、プロ責法。現状の、ネットでのビジネス、電子メールでの顧客への接触SNSなどの活用とかを考えると、これらについても共通性は高いのではないか
  • 下請法。情報成果物の作成、役務提供については、広く行われているような気がするので、このあたりも入ってくるのではなかろうか*3
  • 公益通報者保護法コンプライアンスとの関係で広く問題となるのではなかろうか。

これらに加えて、司法試験で選択しなかった科目(労働法、倒産法、経済法、知的財産法、租税法、環境法、国際私法、国際公法)や消費者法(消費者契約法特商法、割賦販売法、さらに景表法も含むだろうか)まで考えると、確かにものすごく広範になりそうな気がする。

 

これらをある程度まんべんなく、というと、別途某先生が挙げられていたビジネス実務法務検定2級のテキストを見るのが無難なのだろうという気がしている。広く浅くという意味では1級よりも2級だろうし。僕自身ははるか昔、まだ20世紀の内に合格したが、確かに広く浅くという感じだったのを記憶している。

*1:メーカーについては、こちらのかこのエントリではこちらが参考になろうかと

*2:いつものことながら、こちらの経験及び認識に基づくもので異論などがあり得るのはいうまでもない。

*3:もっとも、下請法は経済法の出題対象に含まれていたはずなので、ここに挙げるのには適していないかもしれない。