遅まきながら一通り目を通させていただいたので、感想をメモ。
とはいっても、既に多くの具眼の士がそれぞれ感想を述べられており、こちらごときが付け加えるべきものはあまりないような気もする。
例えば次のあたり(網羅的なリストを意図するものではない)。
k-houmu-sensi2005.hatenablog.com
お三方のコメントと、著者のコメントを読めば、後はもういらないのではないかという気もする。
とはいえ、個人的に印象に残った点をいくつかメモしてみる。
- 条文の文言を最小限にして、条文番号とかもいれずに(そういうのがあると、それだけで嫌気がさす人もいるだろうから良い対応ではないかと思う)、平易な言葉で、300頁弱で会社法の基本的なところを鳥瞰していて、文章が読みやすくて一気に読めるから、会社法についての「最初の一歩」としては適切だと思う。戦士さんの言うように、入門書(司法試験向けであれ、実務向けであれ、いずれにおいても)としての究極型だと思う。
- 説明の言葉使いの平易さ具合も、個人的には感動したところ。一例を挙げると「会社または子会社の計算において」のところの説明は、司法試験の受験勉強を始めたころに、意味合いが腑に落ちなくて引っ掛かった表現なので、余計に感動した。この部分に限らず、随所に見られる表現は、会社法について、法律知識のない人に説明する際の説明の仕方を考える資料としても参考になると感じた。
- 今般の改正についての解説も、こちらはフォローしきれていなかったので、ありがたかった。
- 一気に読めるものではありながら、個別の箇所は2頁又は4頁で完結しているので、気になるところだけ広い読むのも可能となっているのは、使い勝手の良さにつながると感じた。この辺りは著者と編集者の努力の産物ということなのだろう。
という次第で、会社法に興味関心がある向きにとっては、手に取って損のない、お勧めの一冊といえる。
敢えて何かを望むのであれば、今後の時宜に適った改訂と、後は、次回改訂時には、この本の次に読むべき本の紹介を加えてほしい、というところだろうか。個人的には、入門書については、「その次」に読むべき本の紹介まであってほしいと思うので。会社法であれば、リークエとか紅白本あたりが候補になるのであろうと思うのだけど。