例によって、図書館で借りて目を通したので感想をメモ。
「あのころ、早稲田で」の続編という感じで、中野さんがどうやってコラムニストになっていったのか、というのが回顧録の形で語られている。最初は一年単位で話が始まり、後半は、おそらくサンデー毎日の連載が始まってリアルタイムの記録があるからだろうけれど、回顧が10年単位になっている。後半部はこちらも諸々の記憶があるから、「そういうことあったよね」と頷きながら読んだのだった。
時代と巡り合わせと(そしておそらくはご本人の努力と)に恵まれて、中野さんはコラムニストになったわけで、その過程を通じて、その時代の雰囲気、特に70年代・80年代について、中野さんの目を通して見えたものが、なんとなく感じ取れて個人的には面白かった。もっとも、それは中野さんのサンデー毎日の連載をまとめた単行本を読み続けていて、中野さんの感じ方とかに慣れているからかもしれないけど。
それと感じたのは、中野さんは、もともと持っていた自分の志向に導かれるように、コラムニストとして立ち位置を作っていったということ。なろうとしてなったというよりも、もともとそうだったものが発現したという感じだろうか。そういう生き方は、素直に羨ましく感じた。そういう生き方とは縁遠い人生を歩んでいるような気がする(傍目からどう見えるかはさておき)ので。