お速いのがお好き?

相変わらずの謎なタイトルですいません。

毎度ご迷惑をおかけしている戦士さんのエントリを読んで感じたことなどを、呟いたことも踏まえつつ、取り留めなくメモ*1

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

 

 

個人的には「IT化」については、そもそも懐疑的なところがある。確かに便利になるのは悪い話ではなさそうである。しかし、そもそも日本のお役所(裁判所がこれに含まれることには争いはないと思うが...)がきちんと守秘性の高いデータを扱えるのかというところからして疑問の余地がある。きちんと扱えないならやめといたほうがよくないか、身の程を分かったうえで言っているのか、とまず思うのであった。某えきなん先生が指摘されていたように、IT化で、訴訟資料の漏洩とかのリスクが相応に高くなると思うわけで、いったん電子データになってネットの海に放流されてしまえば、完全に消すことは、控えめに言って、相当難しいので、その辺まで含めてきちんとできるの、できないならやめた方がよくないかと感じる次第。そういう問題の結果、訴訟提起を委縮させてしまって、裁判自体を受ける権利を阻害しやしないかというところも気になる。

 

ITを使っての迅速化、という点についても、速ければいいの?というところからして疑問。企業についていえば、弁護士費用とかを考えると、訴訟提起なんてカジュアルにすることは少なくて、訴訟外の交渉をそれなりにやって、それでも駄目だから訴訟提起になることの方が多いのではないかと感じる*2ので、訴訟だけ急いだところで、益するところがどこまであるのからして疑問の余地があるように思う*3

 

それと、訴訟提起まで行くからには、そこまでにいろいろな経緯をたどることもあって、当事者には相応にいろいろ言いたいことがあってという場合もあるわけで、そういう場合には、いわゆる「ガス抜き」の意味も含めて、相応に当事者の言い分を尽くさせないと、裁判を受けた側の納得感は得にくい。人が納得するためにはそれ相応に時間がかかるということもあるし、「話を聞いてもらった」という納得感なしには、結果を受け入れることは、特に不利なものであればなおのこと、難しいように思われる。言いたいことも言わせてもらえずに*4一方的に判断を下された、との印象を持たれたのでは、仮にその訴訟が確定したとしても、別の形で、紛争が伏在化するだけになるような気がする。そういう場合、裁判所の事件のカウントとしては別事件扱いだろうけれど、実態を見れば一つの紛争ということもあり得て、単体の事件だけ迅速に片づけても、紛争の一回的解決という観点からは、拙速にすぎないという結果に陥るような気がする。

*1:戦士さんのエントリしか読んでおらず、元の日経の記事は読んでいないことを付言する

*2:そういう意味で、企業の法務担当者の観点からすれば、訴訟に至ってしまった段階で「負け」という見方もあり得るだろう。

*3:反面で、執行とかの関係で急ぎたい事例があることはもちろん理解していることは付言しておく

*4:脳裏を某歌がよぎったりする...