Looking Forward

相変わらず謎な表題ですいません(汗)。Looking Backという回顧エントリを先般書いた際,回顧と対にして,何か将来の展望めいたことを,上記の表題で書こうかなとぼんやりと思っていた,特に内容は考えてなかったけど。

dtk1970.hatenablog.com

ぼーっとしているうちに*1,戦士さんの2つの極めて示唆に富むエントリに接した。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

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拝読した内容について,元「中の人」のこちらなりに考えたことをつらつらとメモして見る次第。相変わらずのリアクション芸人風で恐縮ですが…。

 

ご指摘にある企業の法務機能については,特に法務部またはそれに類似する名称の独自の部署として,ここしばらくは拡大傾向が続いてきた。企業の法務機能の拡充が唱道されてきたことや,海外,特に米系企業との比較で,日系企業の法務機能が貧弱に見えたから,ということが主な要因なのだろう。

 

そろそろ,それの傾向の風向きが変わるのではないかという指摘は,個人的にもそうなんだろうなと思う。拡大傾向がいつまでも続く話ではないし,コスト競争の中では,どこかで傾向が反転すると見たほうが無難だろう。時期がいつになるかはさておくとして。

 

それでどうするか,が問題となるのだけど,省力化,合理化というよくある議論を,最新技術の活用により達成するということになるのだろう。宣伝上手な方々のおかげで目にする機会も増えているから,そういうことを考えやすいのも間違いない。

 

とはいえ,まず,一連の技術が,どこまでのことができるか,できないか,を見極める必要がある。こちらが仄聞する限り,特定の機能について,一切合財を全部丸投げしきれるかと言うと,疑問なしとも言い切れない。そうなると,残る部分をどうするのか,を考えてからでないと導入できないのではないか,曖昧にとりあえず使ってみる,という姿勢から始めた場合,目先の効率化にとらわれて,抜け落ちる部分の目配りが抜け落ちないかということが気になる。

 

それともう一つ,技術に丸投げした部分をやらなくなることによって,結局人力での対応が残る部分について,対応能力が落ちる可能性はないのか,ということも気になる。例えば,契約書の審査とかは,数をこなすこと,審査を続けることで,養われるセンス・相場観のようなものがあるというのが個人的な感覚である。そういうセンス等をどのように保って,人力対応の部分での業務を行うのかが,気になるところ。最新技術を唱導される側がその辺りについて,解決策を出してくれることを期待するのはおそらく不適切だろうから(何より売り込みにマイナスとなるし),導入を考える側が考えるべき話だと思う。そして,その解決策が,技術導入のメリットを上回る費用を要するのであれば,その時点での導入自体を見送るという選択肢もあり得るだろう。結論はさておき,このあたりまでしっかりと考えないのは,法務機能を十全に果たしたといえるのか,疑問なしではないように思う。

 

ともあれ,いずれにしても法務部門への縮小圧力に対して,上記の対応とは別に,そもそも機能の一部を事業部門側に移管するということも考えられるだろう。法務に対して,事業部門に寄り添ってくれないという批判はよく聞くから,それに対する対応にもなるかもしれない。

 

とはいえ,それも万能とは言えないように思う。事業部門の中にいると,事業部門のトップの意向に反することは言いにくい,または言ったとしても無視等される懸念がある*2。法務から異動しても,発言が疎まれて,法務機能から外されてしまい,機能不全となる可能性もある。また,特定事業部門の利害と全社レベルの利害との間に緊張関係が生じる場合もあるかもしれない。

 

そういう意味では,本社機能側に一定の役割を残すというのが,適切なのではないか。車に例えれば,アクセルに属するような,取引法務系の機能*3は,事業部門に移管もあり得るけど,他方で,ブレーキに属するような,コンプラ系の機能,ナビに属するような戦略法務系の機能は,全社法務的な,機関法務の業務と一緒に,本社機能に残すというのが,ある程度の大きさのある法務部門では良いのではなかろうか,と感じている。本社経営陣の暴走は事業部門側から止めるのはおそらく困難だろうし,そもそも暴走を探知できない可能性もある。そして,そのためには本社の法務部門はできるだけ独立性を確保する必要がある。できれば社外取締役または監査役(監査委員会取締役)との直通のルートが確保できると良いと思う。

 

…とりとめもないが,こんなところで。

 

 

*1:テレビを持っていないこともあり,特に誰かに怒られたりはしないものと思われる

*2:初職においてその種の経験をしたことが僕自身もあるし…

*3:有事の際の自社の危険を減らす意味ではエアバックということもできるのかもしれない(謎)