これだけは知っておきたい 取適法 下請法から中小受託取引適正化法でこう変わる / 長澤 哲也 (著)

著者の長澤先生からご恵投いただき、一読したので感想をメモ。この分野の入門書として優れた一冊。

#上記の経緯により以下の内容にはバイアスがかかっている可能性があることをあらかじめ付言しておく。また、上記のリンクはkindle版へのものとなっているが、こちらは紙媒体のものを拝読した。

 

下請法について著作もある(近々昨今の改正を反映した改訂版が出るとのこと*1)長澤先生の手による、今回の改正を踏まえた下請法の全容を概観できる入門書ということになろうか。

新書版程度の大きさで100頁弱に改正後の下請法(取適法)の概要がテーマごとに平易な言葉で簡潔にまとめられている。冒頭に今般の改正点が見開きでまとめられた後で、テーマごとに解説がなされている。それぞれの解説では、まず、ざっくりと要約してから内容の説明に入っている。説明も例示などを適宜出されていて、重要なところはカラーで強調が入っていてメリハリも効いている。法律に縁遠い調達部門の方などにとっても、比較的とっつきやすいのではないだろうか。いちいち条文番号等を摘示していないのもそういう方々にとっては敷居を下げる効果をもたらすだろう。また、そうした方々に説明をする側の企業内法務の担当者にとっても、説明の仕方を学べるうえ、所々になるほどと思う記載もあるので*2、復習もかねて目を通しておいて良い一冊と考える。また、巻末には理解度確認のため、章立てに対応した形の簡単なテストも付されており、企業内で研修などに使うことも可能だろう。さらに、巻末に読書案内があり、公取テキストや著者の著作も紹介してあり、入門書としても十分なものになっていると感じた。

 

一点だけ難を挙げると、こちらのような老眼世代*3にとっては小さめの文字のところはちょっと読みづらかった。コンパクトな分量に収めるためにはやむを得なかったのだろうが。

 

*1:こちらは初版のときに通読して以来、改訂版は積読のままになっている...。今度出る改訂版には目を通さないといけないとは思うが...。

*2:個人的に印象的だった記載を例示してみると、これまでより単価を引き下げる場合の代金額の設定についての説明や、コスト上昇時に単価を据え置く場合の代金額の設定についての説明のあたりは、明快な説明が法務担当者にも有用と感じた。

*3:長澤先生も同世代のはず...。