書籍版はこちら。書籍版に目を通したので感想をメモ。B2Bの企業内法務の人が読む分には良い本ではないかと思う。
取適法施行開始直前のこの時期に出たので、取適法の解説本かと思い、長澤先生の本と比較できるかなと思って、中をろくに見ずに(駄目)、買ってみた。しかしながら、一通り目を通した上でのこちらの印象は、下請法改正について解説した本というよりも、改正を契機とした取引の在り方、特にB2Bの受発注取引の見直しを、取適法上の問題を避けることを中心として、進める本というところ。100のテーマに分けて、見開きで解説。QA形式風で見出しのQに対し解説冒頭にAがあり、その後に説明が続く。ライターさんが書いたものを、阿部井窪片山の先生方が監修したもののようで、全体の説明は手堅い印象*1。
解説の文章は分かり易いが、すべて文字での解説で、例えば、適用取引の区別のところなどは文章だけだと分かり易くないので図表で示すなどした方がよかったのではないかと思う。価格との兼ね合いだろうが、強調表示でメリハリはついているものの、白黒のみで、単調と感じる人もいるかもしれない。
内容面も、取引を双方当事者にとって持続可能性の高い公平なものにしようという姿勢から、発注者サイドへの助言と受注者サイドへの助言が一つの項目の中に含まれていて、やや読みづらく感じるうえ、そもそもそういう姿勢に、特に発注者側の購買担当者等が理解を示す保証はない。受注者側から発注者側への働きかけの仕方についての助言もなるほどと思うが、所々に、取適法違反等の指摘をして是正を求めたり、公取への相談を検討すべきという記載があるが、それができて成果が得られるのなら苦労はしないという感やそれが爾後の発注の有無に反映される懸念*2もあり、書かれている内容を実践するうえでは相当の注意が必要なのではないか、安易に現場担当者が振りかざすと、ある種正論であるだけに危険なのではないかという気がする。そういう意味では、ある程度このあたりのことを含めた状況を理解した法務担当者が使うのが良いのではないかと感じる。
なかなか目の付け所は面白いと思う一冊なので、できれば今回の下位規則改正へのパブコメへの回答や2025年の公取テキストや、今後の実務の進展を反映した内容で*3、更新版を出してもらえればと思う。
