表彰すべきか

何のことやら。呟いたことなどを基に、雑駁ではあるがメモをしてみる。

 

企業内弁護士の某団体が、企業内の弁護士またはその所属企業に対しての表彰を行ったという話に接した*1。そうした計画があるという情報には接していたが、某新聞が報じていたのにはやや驚いた。小さな親切大きなお世話、というのがこちらの率直な印象。

 

企業内の特定の機能、部署、個人だけ切り出して、その振舞や成果について、外部からあれこれ言うのが適切なのだろうか*2。一定以上の規模の企業の場合、特定の成果が特定個人・特定部署の行為のみで実現されることは想定しづらく、それにも拘わらず、特定個人のみ・特定部署のみを表彰することが適切なのかは疑義があるように思う*3。また、表彰目当てのスタンドプレイのせいで、周囲に被害というか迷惑を及ぼす可能性も想定されるところで、そうした危険な行為を表彰制度が誘発するのではないか*4。表彰制度を喧伝することで、組織内で設定している誘因と異なる誘因を外部から与えることは*5、その企業に対するある種の「内政干渉」ともいえ*6、言葉を選ばずに有体に言えば傍迷惑なのではないか。特に今回はもともと企業内有資格者の団体が主催ということもあり、企業単位か有資格者個人という表彰のようで、企業内法務担当者が有資格者だけではないところで、そうした形が適切なのかについても、疑義を残さないかと考える*7

*1:このような発想で行事を行う時点で、当該団体に文句をいう意味はないだろうから、リンクなどはしないでおく。

*2:表彰の審査のための情報開示を求めた場合に、社内的に許容しがたい情報流失に繋がらないかという懸念は、あまり持ちたくないが、そうした懸念を一笑に付してよいのかは正直よくわからない。

*3:仮に、社内で満たされない承認欲求を社外で満たそうとしているのであれば、その発想自体がおかしくないかという気もする。

*4:かつてメモしたエントリで述べたような懸念が一定程度この場面でも当てはまると思うのだが...。

*5:いわゆるグッドプラクティスの普及とかが仮に目的だったとしても、そもそも業種やリソース等の状況が異なるところで、他社の経験が自社でどこまで「使える」かは定かではない。広めればいいというものではないだろう。

*6:そのようなことをするよりも先にやるべきことがあるだろうと思うのだが。

*7:企業の法務担当者の集まりである経営法友会では、その種の試みははされないが、そのことの意味を多少は考えてみても良いのではないか。