高いとか低いとか

例によって益体もないメモ。

 

いつぞやに企業内法務*1が事業部門のレベルが低いとか論じることには問題があるというような内容の呟きを見た。企業内法務の側が言いたくなる気持ちはわからないでもないような気がするが、気になった点をメモしてみる。

 

事業部門のレベルというのも、具体的に何かを指すのか不明瞭。不明瞭なものについては、なんとでも言えるような気がするが、他方で、そういう物言いに、自己満足以外にどういう意義があるかは疑問。仮に企業内法務の営為に対する無理解・非協力を嘆くのであれば、法務に対する弁え(片仮名でいえばリテラシーというやつだろうか)が低いという方が、嘆くべき状況の描写としては適切なのではなかろうか。嘆いているばかりで何もしないのでは、何ら状況は変わらないとしても。

 

また、上記の点を無視して、仮に、何らかの形で、事業部門の「レベル」なるものが測定可能であると仮定したとしても、企業内法務の担当者が観測可能な範囲での「レベル」をもって、事業部門の「レベル」を断じることができるのかは、これまた疑問。得意先などに対しての顔や振舞は、社内、特に企業内法務を含む管理系部門に対するものとは同一ではない可能性もある。自分たちに見えているところだけで論じるのが適切なのかという問いが成り立つような気がする。

 

裏を返せば、事業部門側の対得意先への対応などがあまりに不適切で、その旨のクレームが複数の得意先などから寄せられて、その内容が企業内法務にも共有され、対応策を協議するような状況であれば、そのような言辞を弄することが適切な状況が生じるのかもしれない。そういう状況が生じることはそれほど多くないとは思うが。

 

さらにもう一つ。仮に、「レベル」なるものが測定可能で、かつ、「高い」「低い」を企業内法務の立場から論じることが可能だったとして、「高い」ことが必要なのか、というところも疑問。事業部門、例えば営業の「レベル」が低くても、製造部門が優秀で製品の性能が高く、それゆえによく売れて、高い利益が得られている状況であれば、それで何ら問題はないという見方もあり得るかもしれない。この点は何をもって「良し」とするかによっても変わってくるところかもしれない。

 

…というようなことをぼんやりと考えていると、他人様のことをあれこれ言っている場合ではないような気がしてくる*2

*1:例によって機能としてのそれを指す。

*2:もっとも、そういう話を酒の肴にして憂さ晴らしができるなら、その限りでは意味があるという見方もあるだろうが。