お願いの仕方について

昨日のエントリの続きで、雑駁なメモをしてみる。

 

昨日のエントリについて、いつも厳しい経文緯武先輩からツッコミが入り(こちらの呟き以下を参照。)、若干のやり取りをさせていただいたので、補足方々エントリにメモしてみる。

 

翻訳などを外に出すとしても、外部に出す場合の、依頼者側・受ける側の留意点はなにか、というのがお題…のような。

 

以前のエントリで書いたことと重なる部分があるが、依頼する側としては、まずは、外注した結果として何を実現したいのか*1、を自覚したうえで、それを依頼先に明確に伝えることが必要であり、依頼を受ける側としては、依頼者の言わんとする内容*2を踏まえて、その内容に即した対応をすることが重要ということになるような気がする。

 

もう少し敷衍してみる。

  • 誰に?ここは最初の関門。翻訳会社に外注に出す、弁護士事務所で相応の能力のあるところに出す*3、前記の事務所経由で翻訳会社に出し、内容を当該事務所で精査したもらう、など、いくつかのやり方が想定できる。ここは、翻訳を求める目的、要求精度、納期、予算(重要であることは言うまでもない)などから判断していくことになるのは言うまでもない。
    • ここで一点忘れてはならないのが、相手先の能力*4を吟味*5できるだけの能力が自分にないと、「まとも」*6な相手を選ぶことが困難ということになる。そういう能力がないときは、ある種「信用」頼みにならざるを得ない。
  • 何を。ここは次の関門だろう。要するにどういう出来上がりの姿を求めるか、ということに尽きるだろう。
    • この点は、そもそも、今なぜ翻訳を求めているのか、ということをよく考える必要があろう。「偉い人」の意思決定(稟議などを含め)のためのサマリーレベルでよいのか、最大限情報量を伝える全文訳がいるのか、その両極端の間のどこかになるとして、それが何処なのか、見極める*7ことが必要になるだろう。
      • 重要そうなところを、詳しめに、そうでないところは、簡単に、というのは思いつくが、その判断は誰ができるのか、いかなる基準でその判断をするのか、というあたりを考える必要があろう。契約書などの法律文書について、この種の作業を弁護士事務所に依頼することの意味は、法律家の目から見て、このあたりを判断してほしいという意味合いがあったりするし、それには相応の意味があろう。
      • その逆で、全体について、ふんわりとした理解でよければ、どこまでの精度が出るかは不明でも、危険を覚悟の上で、機械翻訳に委ねるというのもありえない判断ではあるまい。
  • どのように。スタイルとか、そのあたり。業界用語・社内用語で一定の訳語での統一が必要なら、予めグロッサリーの形で指定するのが無難なのだろう。このあたりは、依頼先がそのあたりをどこまで知悉しているのかというところにも依存する気がする。
  • いつまでに。できれば手直しの時間を確保した上で早めに依頼をかけたいところ。何らかの形で関与した以上は、何も中を見ずに出すのも無責任との批判を生むだろうし、それを避ける意味や、精度が不十分で後で問題が起きるのを防ぐためには、可能な範囲で中を見ておいたほうが良いと思われる。

 

・・・とりあえず思いついたことをメモしてみた次第。

 

*1:その反面で何を実現しなくても良いのか、ということも含む。

*2:実際に言っている内容と等価とは限らないが

*3:渉外系事務所だとそれなりのスタッフを自前で持っていることがある。

*4:法律文書については、語学力と内容についての理解と双方が必要なことには留意が必要。

*5:実際の訳文でないと吟味がしづらいような気がする。

*6:これが何を意味するかも自分の能力次第で変わりうるということも含めて留意が必要。

*7:その際には当座の用事を済ませた後で、その訳文がどう使われるかも視野に入れておいたほうが無難ではあろうが、言うほど簡単ではないとも思う