顔を出す意味

雑駁なメモ。

 

先般現職で初めて国内の製造現場を訪問する機会があった。感染症禍のために長らく出張自体自粛傾向にあったため、どうしてもという用事がないままにここまで来たのだが、ここに来て、対面で打ち合わせたほうが良さそうな用事が出てきたので、それにかこつけて出かけてみた。個人的にはもっと早く行きたかったのだが…。

 

現状だと、ネット越しにzoomやteamsの類を使えばある程度の打ち合わせはできてしまうが、特にこちらの勤務先のように音声のみでで大半の打ち合わせをしてしまうと*1、どうしても「顔が見えず」、企業内法務に対して依頼をする側からすれば、心理的な距離ができてしまうように思われる。そういうものを解消する意味でも、一度直接対面で話をしてみることには意味があると考える。

 

また、法務の側としても、伝え聞く現場を自分の目で見る、音や匂いを実際に体験してみることには、相談内容や書面の内容をよりリアルなものとして理解することができるようになる一助となり、イメージがしやすくなることで、審査などの効率化も期待できると思われるので、相応の意味があると考える。

 

さらに、あまりにも現場に顔を出さないと、たまに現場に行ったときに目立ってしまうということも意識しておくべきと考える。このことは、密行性が求められるような不正調査などのときには問題となりかねない。いつも来ない法務が来ているけど、なにかあったのではないか、という疑念を無関係な現場の方々に持たれることは、無用な推測を生む可能性があるので、好ましいとは言い難いように思う*2。過去の勤務先でそのような目で見られたことがあるので、そう思う*3。そういう推測がなされたり、広まったりするのを避ける意味では、何らか知らないが、用事があると来るみたいだから、誰かと打ち合わせにでも来たのだろう、という程度の憶測でとどまるよう、それなりの頻度で現場に顔を出しておくことが必要なのではないかと考える*4

*1:そうすることにはプライバシー保護など一定の意味があることは言うまでもない。

*2:こちらのように法務の責任者の立場だと更に目立つ可能性すらあるのが悩ましい。

*3:現場の方からその種の質問を受けて驚いたことがある。

*4:もちろん費用対効果も考える必要があるが、この種の備えは平素からしておかないといけないので、企業が存亡の危機にあり、費用削減が至上命題になっていないときには、ある程度の自由度が認められても良いのではないかと考える。もちろん、行くからには、費用に見合う何かが得られるよう、相応の準備をすべきだし、その際には現場側の協力が必要になることもあろう。